連載「ビジネスを強くする格安SIMを探せ」
MVNOが提供するビジネス向け「格安SIM」サービスをチェックする
仮想移動体通信事業者(MVNO)の安価な通信サービスが注目を集めている。「格安SIM」という言葉は通信費を抑えたい企業にとっても魅力的だ。しかし、“格安”なSIMが業務効率に悪影響を及ぼすことはないのだろうか?
新連載「ビジネスを強くする格安SIMを探せ」とは
この連載では、最近ユーザー数を急速に増やしている「MVNO」と、彼らが取り扱う「格安SIM」について、ビジネスで導入するための方法やメリット、そして、制約について、長年携帯電話関連サービスを取材している佐野正弘氏が解説する。日本では認知度がまだ低く、格安SIMについては言葉のイメージが先行している懸念もある。その実態を把握して、それからビジネスにおいてどのような効果があるのかを考えてみよう。
そもそも「MVNO」と「格安SIM」とは?
ここ数年、「格安SIM」「格安スマホ」という言葉を見聞きする機会が増えている。“格安”という言葉が付いているだけあって、スマートフォンの通信料を大幅に節約するために個人市場を中心に利用するユーザーも増えてきた。しかし、なぜ安く利用できるのか詳しく知っているユーザーは、まだ少ない。
格安SIMとは、一般に仮想移動体通信事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)が提供する通信サービスを指す。MVNOは、NTTドコモやKDDI(au)などの大手キャリアから回線を借りて通信サービスを提供している事業者で、代表的な企業としてはNTTコミュニケーションズやインターネットイニシアティブ(IIJ)、ビッグローブなどがある。このようなMVNOは、なに故に大手キャリアより安価に通信サービスを提供できるのだろうか。
MVNOは、自社で通信インフラを敷設している訳ではなく、大手キャリアが整備したネットワークを借りてサービスを提供している。そのため、莫大(ばくだい)な投資コストを掛けることなく、低コストで通信事業を展開できる。加えて、MVNOの多くは、流通や付加サービス、店舗でのサポートなどに掛けるコストを大幅に抑制して事業を展開している。購入できる店が限られる、サポートがインターネットと電話だけ、などの制約はあるが、その分安い料金で通信サービスを利用できる。
もう1つ、MVNOの大きな特徴がサービスの提供形態だ。大手キャリアは、基本的にスマートフォンと「SIM」をセットにして提供している。SIMは、加入者情報を記録した、スマートフォンで通信するのに必須のICカードだ。一方、大半のMVNOは、SIMだけを提供していることが多い。そのため、MVNO回線を利用するには、基本的に自分でスマートフォンを用意してSIMを挿入して通信関連の設定を自分でする必要がある。
なお、ちなみに格安SIMと並んで見聞きする機会が増えている「格安スマホ」は、大手キャリアのように格安SIMと安価なSIMロックフリーのスマートフォンをセットで販売したものの総称だ。
法人に向けたMVNOのサービスや料金はどうなっているのか
格安SIMは、普段利用しているスマートフォンの料金を抑制するのに役立つのはもちろんだが、法人におけるビジネス利用という視点でも、注目したいポイントが多い。実際、法人向けの通信サービスを提供するMVNOがこのところ増えている。では実際のところ、MVNOは法人向けにどのようなサービスを提供しているのだろうか。
MVNO、格安SIMの解説や法人利用におけるメリットを解説する前に、まずは主なMVNOと、そのそれぞれが提供している、法人向けの主要なサービスを一覧にまとめておこう(2015年12月時点)。それぞれのMVNOでは、スマートフォンやタブレットなどに向けたサービスの他、M2M(機器間通信)やIoT(モノのインターネット)での利用を想定したサービスも提供している。それぞれのサービスでMVNOを選択するメリットについては次回以降で紹介するとして、まずは主だったサービスをまとめているので参考にしてほしい。
なお、ここで紹介しているのはあくまで各社の主要なプランのみであり、他にもさまざまな料金プランが用意されている。より詳しい情報が知りたい場合は、各社のWebサイトなどをチェックしておきたい。
| MVNOが法人向けに提供する主なスマートフォン対応料金プラン | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| MVNO名 | プラン名 | 最大通信速度 | 高速通信容量 | 月額料金(データ通信のみ、特記なき場合税別) | 月額料金(音声通話付き、特記なき場合税別) | 最低利用期間 |
| NTTコミュニケーションズ | OCN モバイル ONE(110MB/1日コース) | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 110MB/日 | 900円 | 1600円 | 6カ月 |
| IIJ | IIJモバイルサービス定額プランライト | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 3GB/月 | 900円 | 1600円 | 1年 |
| ビッグローブ | BIGLOBE LTE・3Gエントリープラン | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 3GB/月(※6GB、12Gバイトプランも用意) | 700円 | 1400円 | 12カ月 |
| ニフティ | NifMo 法人サービス 3GBプラン | 下り最大262.5Mbps/上り最大50Mbps | 3Gバイト | 900円 | 1600円 | 6カ月 |
| NTTぷらら | ビジネスプラン | 下り最大3Mbps/上り最大3Mbps | 無制限 | 2980円(税込み) | - | - |
| ダイワボウ情報システム | DiSM JCI 2GB Data/Phone+Data | 下り最大225Mbps/上り最大50Mbps | 2Gバイト | 1880円 | 2880円 | 3カ月 |
| DiSM U-mobile 使い放題(高速)Data/Phone+Data | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 無制限 | 2480円 | 2980円 | 6カ月 | |
| ケイ・オプティコム | mineo ドコモプラン(500MB) | 下り最大225Mbps/上り最大50Mbps | 500MB/月 | 700円 | 1400円 | - |
| Mineo auプラン(500MB) | 下り最大225Mbps/上り最大25Mbps | 500MB/月 | 700円 | 1310円 | - | |
| MVNOが法人向けに提供する主なデータ通信用、または、M2M/IoT対応向け料金プラン(表中「-」は非公開情報) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| MVNO名 | プラン名 | 最大通信速度 | 高速通信容量 | 通信可能な時間帯 | 月額料金(特記なき場合税別) | |
| NTTコミュニケーションズ | OCN モバイル ONE for Business 1GBコース | 下り最大225Mbps | 1GB/月 | - | 2000円 | |
| ONE for Business 200kbpsコース | 下り最大200kbps/上り最大200kbps | 0.5GB/月 | - | 800円 | ||
| IIJ | IIJモバイルM2MアクセスサービスプランA(タイプD) | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 500MB/月 | 22時~翌6時 | 300円 | |
| ビッグローブ | ライトSSプラン | 下り最大256kbps/上り最大256kbps | 360Mバイト/3日 | - | 要問い合わせ | |
| 上り高速10GBプラン | 下り最大256kbps/上り最大50Mbps | 10Gバイト/月 | - | 1500円 | ||
| 京セラコミュニケーションシステム | KWINS LTE | 下り最大75Mbps/上り最大25Mbps | 7GB(超えると128Kbps)、1GB/3日間 | - | 要問い合わせ | |
| Pilina 3G | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | 100MB/3日間(超えると300Kbps) | - | 550円 | ||
| 日本通信 | - | LTE対応 | 速度制限なし | - | 要問い合わせ | |
| 丸紅無線通信 | パケットシェア 従量プラン | LTE(対応BAND)に準ずる | - | 24時間 | 180円~(10万1回線以降から)※数量、用途、利用時間などで料金変動 | |
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