Gartnerのドレイファス氏は、今後CIOが果たすべき役割と必要なスキルを挙げた。しかし、「こうしたスキルを備えている者は多くない」と切り捨てた。
これからのCIO(最高情報責任者)は一流のマーケットリーダーとなり、IT部門が率先して全社業務のデジタル化を進めるメリットをアピールする必要がある。
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調査会社Gartnerは2015年11月、スペインのバルセロナで恒例のカンファレンス「Gartner Symposium/ITxpo」を開催した。このイベントに参加した同社のリサーチバイスプレジデント、カッシオ・ドレイファス氏は他の参加者に対して、こんな疑問を投げかけた。「今は誰もがデジタル時代だと言うが、デジタルに移行するには実際にどうすればいいのか」
Gartnerの調査によると、自社事業をデジタル化するべきだと考えているCEOは回答者の3分の2を占める。さらに、回答を寄せた企業の70%で、既に社内デジタル化リーダーが活動している。ただしそのデジタル化リーダーの80%は、マーケティング部門の責任者が直属の上司だという。
また、今後の職務に必要なスキルが自社のCIOに備わっていると考えるCEOは、回答企業のうちわずか3分の1だけだったとドレイファス氏は明かす。「CEOは、デジタル化の裏に複雑な面があることに気付いていない。今求められているのは、企業変革の重要な部分を担うITリーダーであることを理解していない」
活動中のデジタル化リーダーの1人として、CIOはITが社内で果たす役割を拡大させる必要があるとドレイファス氏は語る。事業を運営するための強固な技術プラットフォームを提供する立場から、他部門から信頼されるビジネスパートナーへと転身するべきだという。ドレイファス氏はこう主張する。「今こそCIOは、内向き志向からグレードアップしなければならない」
以前とは違い、CIOはもっと部外に目を向けなければならない。ITが火付け役となって、最終的には部門の壁を越えたコラボレーションを実現するように、ビジネス上のパートナーシップをリードするべきだと同氏は考えている。
IT部門は従来、(製品としての)システム開発、テスト、実装を担当する部門とは離れた、狭い範囲の中で進化してきた。ドレイファス氏に言わせれば、IT部門は時代とともに、デジタル化施策をけん引する総合的なITチームへと進化しなければならない。
CIOの役割も進化するべきだというのが、ドレイファス氏の持論だ。「成功している人がビジョンを描くと、それに対して多くの人が価値を認めてくれる。説得力がある」。これを実現するには、リーダーにマーケティングのスキルとソーシャルスキルが要求される。だが、(従来の)IT部門のリーダーでこうしたスキルを備えている者は多くないとドレイファス氏も認めている。
製薬会社IpsenでCIO兼デジタル化リーダーを務めるマリカ・ミル氏が入社したのは2012年のことだった。同氏が初めてCEOと会って話したときの話題が、デジタル化への変革だった。「当時の経営陣はデジタル化への変革には全く関心を示さず、まだ少し先の話だと考えていた」
経営幹部が力を入れていたのは、薬学的な調査を進歩させるところだった。ところが翌年になって、CEOは変革の計画に着手し、2020年までに製薬業界トップの地位に就くという目標を掲げたと同氏は振り返る。
「この目標を達成するには、業務プロセスを根本的に改めるしかなかった」とミル氏はComputer Weeklyに語る。ミル氏は社内のさまざまな部門に働きかけて、デジタル化施策の拡大に取り組んだ。「デジタル化はバリューチェーンの全体にわたって業務に影響を及ぼすので、全部門を対象としたワークショップを開催することにした」
しかしミル氏が率いるIT部門にとって不運なことに、このワークショップは成功とはいえない結果に終わった。
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