HPE首席アーキテクトに聞く、次世代サーバ「The Machine」キーパーソンインタビュー

HPが2014年6月の発表から3年弱、同社が「メモリドリブンコンピューティング」と呼ぶ「The Machine」はどうなっているのか? HPE首席アーキテクトにノイマン型の限界とThe Machineが目指すものを聞いた。

2017年03月28日 08時00分 公開
[Cliff SaranComputer Weekly]
Computer Weekly

 2016年11月、HPEは次世代のPCサーバハードウェアインフラを発表し、これによってコンピューティングの経済性を再発明したとアピールした。

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 HPEの首席アーキテクトであるカーク・ブレスニカー氏は、昨今のモダンコンピューティングではメモリがボトルネックとなっていたと話す。

 今日のコンピュータは一般的に、数学者のジョン・フォン・ノイマンが1945年に定義したアーキテクチャをベースとしている。そのアーキテクチャとは、メモリに格納されている命令をCPUがフェッチし、実行するというものだ。

 このノイマン型アーキテクチャでは、メモリがボトルネックだった。そこで今どきのコンピュータアーキテクトは、より洗練された方式を考案してプロセスの最適化を目指している。「ノイマン型アーキテクチャは、命令、プログラム、データが全て1本のパイプに送信される」とブレスニカー氏は説明する。

 メモリは高価なコモディティと考えられているので、OSや大規模アプリケーションは、HDDなどのブロックストレージデバイスを仮想メモリとして使用する傾向にある。大規模なアプリケーションを実行し、インストールされている物理メモリの容量を超える膨大なデータセットを処理する際、OSはストレージとメインメモリ(例えばDRAMなど)の双方向で、データをブロック単位に分けてコピーする。

 同氏は次のように語る。「われわれは今まで、HDDやフラッシュをベースとするブロックデバイスで大規模なプールを築き、そのプールを使用するスキームを磨き上げてきた。しかし、これではアクセスに非常に長い時間がかかる。これをスピードアップするために、一度に取得するチャンクの量を増やし、キャッシュを配置している」

 キャッシュは、処理効率を上げるため、頻繁にアクセスするデータを格納しておく高速なメモリだ。ただしこれは、アプリケーションが必要とするデータの大部分がキャッシュに格納されている場合にのみ有効だとブレスニカー氏は話す。「アプリケーションがこのモデルに適合しない場合は、適合させる方向へ、われわれは問題に対するアプローチを修正する」と同氏は付け加える。

 メモリの容量を飛躍的に拡大する次世代のメモリ技術である「3D NAND」や「メモリスタ」(memristor)を採用した製品が普及すれば、開発者がアプリケーションの最適化を行う際のアプローチが変わる可能性があるとブレスニカー氏は語る。低速のブロックストレージデバイスからデータを読み込む処理がなるべく発生しないように、データがキャッシュに格納されているかどうかを開発者が気に掛ける必要はなくなるからだ。

 「われわれは、メモリ容量が不足気味だという基本的な経済性を変えたい」と同氏は主張する。

 そこでHPEはSanDisk(Western Digitalに買収された)と協業し、フラッシュストレージの大容量化によって実現した、低コストかつ拡張性の高い「抵抗変化型メモリ」(ReRAM)を提供している。ReRAMはDRAMと同等の速度で稼働する。

ムーアの法則を破る

 今日のモダンコンピューティングを主導しているトレンドは多数存在する。メモリの拡張性を一変させた、新しいクラスのメモリを今は利用できるとブレスニカー氏は語る。その一方で、これまでコンピューティングの速度向上の原動力となってきたムーアの法則は頭打ちとなってきた。

 ムーアの法則は次第に達成が難しくなってきたため、ハードウェアアーキテクトは、新たな設計に注目している。

続きはComputer Weekly日本語版 3月22日号にて

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