HPEが開発中の次世代アーキテクチャであるメモリ主導型コンピューティングはコンピュータの歴史を塗り替えるのか。同社のCTOに、現在進行している「The Machine」の応用と展開について聞いた
「The Machine」は、Hewlett Packard Enterprise(HPE)史上最大の研究開発プログラムだ。その目標は、「メモリ主導型コンピューティング」の実現にある。
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メモリ主導型コンピューティングは、プロセッサではなくメモリをアーキテクチャの中心に据える。The MachineはHPEによるメモリ主導型コンピューティングの研究プログラムを体現し、研究で生まれた技術は将来のHPEサーバへの導入が期待される。
かつてメモリは高価だった。そのため、使用頻度の高いデータをメモリにキャッシュし、あまり使わないデータをディスクに格納していた。だが、メモリが格段に安価になった現在、恐らく全てのデータをディスクではなくメモリに格納できると考えられる。
メモリ主導型コンピューティングは、従来システムにおけるメモリ、ストレージ、プロセッサが相互作用する際の非効率性を排除する。これにより、複雑な問題の処理に必要な時間を数日から数時間、数時間から数分、そして数分から数秒に短縮し、リアルタイムのインテリジェンスを実現できるとHPEは考えている。
HPEのCTO(最高技術責任者)とHewlett Packard Labsのディレクターを兼任するマーク・ポッター氏は、Computer Weeklyのインタビューを受けて、The Machineを全く新しいコンピューティングパラダイムと表現した。
「過去3カ月にわたって、システムのスケールを20回変えてきた」と同氏は話す。The Machineは現在、単一のシステムに160TBのメモリを搭載して稼働している。
メモリアレイとプロセッサコア間の高速通信がThe Machineのパフォーマンスの鍵を握る。「400基以上のコアで40のノードを光接続し、その全てが1Tbps以上の速度でデータ通信できる」(同氏)
同氏によれば、現行システムではアーキテクチャを変えずにメモリをPB(ペタバイト)規模にスケール変換できるという。光を複数の波長に分割するといった光ネットワーク技術を使えば、将来的にはメモリとプロセッサ間の通信速度をさらに高速化できると考えられる。
最新のコンピュータシステムは、高度に分散した膨大な数のCPUコアで構成されている。だがポッター氏によれば、処理能力の向上は活用してきたが、データの帯域幅が急速に拡大することはなかったという。そのため、コンピューティング能力のボトルネックは、メモリへデータを読み取る速度とCPUコアへの供給速度の制限を受けることになる。
「メモリ主導型コンピューティングは、社会のあらゆる側面が進化する形でテクノロジー業界を前進させるソリューションだと考えている」とポッター氏は語る。「当社が発表したアーキテクチャは、インテリジェントエッジデバイスからスーパーコンピュータまで、全てのコンピューティングカテゴリーに応用できる」
このテクノロジーの応用分野の1つとして、エクサフロップスケールスーパーコンピュータなどのハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)の構築がある。
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