ネットショッピングが増大する中で、リアル店舗を強化して顧客の来店数増を目指すトイザらス。同社のさまざまな施策を紹介する。
子ども向け玩具とゲームの小売業者Toys“R”Us(以下、トイザらス)は、店舗にタブレットを導入して店舗スタッフの顧客対応力を改善しようとしている。
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英国トイザらスのリードエグゼクティブを務めるフランク・ムツカ氏は、2017年のRetail Business Technology Expo(RBTE)で、英国内の各店舗に2台の「iPad」を導入し、店舗アドバイザーが製品情報に簡単にアクセスできるようにしたと語った。
「顧客が店舗で体験する全てを、あらゆる点で強化しなければならない。その1つの方法が、顧客の応対に最新技術を駆使することだ」と同氏は話す。
オンラインチャネルで購入する顧客が増えている中、店舗は単なる購入場所ではなく、実体験を目的とする場所になってきている。
ムツカ氏によれば、店員が商品検索システムを備えたタブレットを持ち運び、在庫商品についてのさまざまな情報を得ることで、顧客が求める商品がその店舗で手に入るかどうかがすぐに分かるという。
店舗でタブレットを使う試みにより、顧客は適切な商品を選べるようになる。例えば、チャイルドシートを装着する車種、子どもの年齢、予算をiPadアプリに入力すれば、店員はこれに基づいて適切なチャイルドシートを薦めることができる。
この種の体験型の購入は顧客にとって非常に貴重であり、追加の情報や助言があれば顧客は購入の意思を固める。そして、店員と顧客との個人的交流を増やすことができる。
ムツカ氏によると、店舗へのテクノロジー導入以来、売上高や販売数は増加しており、通常の店舗売り上げの中でタブレットが支援した販売数は400%増を記録しているという。
ムツカ氏は次のように話す。「もっと多くの顧客データを入手する必要がある。iPadの使用と会員登録により、この分野での爆発的成長が見込める」
同社はタブレットを将来のモバイルPOSシステムにすることを考えている。そのため、端末で使う必要があるアプリケーションを店舗スタッフに確認している。
タブレットをPOSシステム化すれば、小売業者は店舗体験での摩擦をなくすことができる。同社は、顧客が頭金を払って商品を予約し、後日その商品を受け取る「Take time to pay(TTTP)モデル」の導入も検討している。
これらは、トイザらスが店舗を「顧客が足を運ぶ場所」にするために試している幾つかの小さな取り組みにすぎない。ムツカ氏は、「実際に商品に触れて楽しむ魅力的なショールーム」を提供する物理空間に「再投資」していると語る。
仮想現実のキャラクターを表示する「マジックミラー」などの商品や、子どもたちが商品を実際に使ってみる場所を導入することで、トイザらスの店舗はこれまで以上にインタラクティブになっている。
同社は、顧客がブランドや製品の雰囲気を感じられる小規模店舗も初めて展開し、大規模倉庫型店舗のサブセットとしての機能を持たせている。
「顧客がわざわざ実店舗をのぞかなくなった昨今では、店舗を素晴らしい場所にしなくてはならない」(ムツカ氏)
こうした技術主導の店舗体験が自社ブランドのチャネル全体につながるように、同社はEコマースプラットフォームの開発にも継続的に取り組み、顧客にパーソナライズしたオムニチャネル体験の提供を試みている。
スマートフォンの登場により、顧客のショッピング方法やブランドとの接触方法は変わった。
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