「Kubernetes as a Service」とは何かクラウドサービス非依存

多くの人がKubernetesのメリットを認識しているが、これを実装するにはスキルとノウハウが必要で、何から手を付ければいいか分からない、という人もいるだろう。

2019年12月19日 08時00分 公開
[Adrian BridgwaterComputer Weekly]

 Wikipedia、ハッカーフォーラムの議論、開発チーム自身によれば、「Kubernetes」と名付けたのはギリシャ語の「κυβερνήτης」が「統治者」「操舵(そうだ)手」「船長」と訳され、さらに、ラテン語の「gubernare」(訳注)が「統治」と訳されるためだという。

訳注:gubernare(グーベルナーレ)は英語の「government」「governance」の語源。

 この命名は全く理にかなっている。というのも、Kubernetesはプライベート、パブリック、ハイブリッドクラウドのLinuxコンテナ管理に用いるオーケストレーション技術だからだ。

 Kubernetesを支える人々の言葉を借りると、Kubernetesはコンテナ化されたワークロードやサービスを管理するためのオープンソースのプラットフォームで、移植と拡張が可能であり、宣言型の構成と自動化の両方を促進するという。

 それがKubernetesだとしたら、「Kubernetes as a Service」(KaaS)とは何だろうか。

 KaaSは、コンテナ化されたワークロードのオーケストレーションと管理のノウハウを手に入れる手段だ。ただし、それが小さな(コンテナ化された)単位で手に入る。これにより、オンプレミスとクラウドベースのコンテナクラスタを管理・破棄する機能がプロジェクト単位にオンデマンドで提供される。

 KaaSを提供するのは誰か。

 それは、米サンディエゴを拠点とする企業Kazuhm(カズーム)だ。

リソースの確保(と再取得)

 Kazuhmの提案は次のようなものだ。テクノロジー部門はもっと多くのコンテナを使ってコンピューティング負荷の高いワークロードを管理したいと考えている。だがコンテナ管理ソリューションは、(一般に)マルチクラウド、ハイブリッドクラウド、オンプレミスの各分散型コンピューティング環境でコンテナを正しく管理するためのリソース確保についての懸念、特にユーザーがデスクトップでワークロードを運用できるようにするためのリソース確保についての懸念に対処しない。

 KazuhmのCEOティム・オニール氏は次のように話す。「迅速性が重視される昨今、厄介な問題や過剰なコストを生じさせることなく、クラスタを素早く簡単に稼働させて破棄する重要性がかつてないほど高まっている。Kubernetesの採用は急造している。だがKubernetesのメリットを認識している多くの人々は、いまだ何から着手したらよいか分からず実装できていない。誰もがコンテナと分散コンピューティングにアクセスできるようにするための鍵は、リソースの再取得とユーザーフレンドリーなエクスペリエンスの2つだと当社は考えている」

 Kazuhmは、企業が既存のITリソースと未使用の処理能力を再取得し、デスクトップ、データセンター、クラウド、エッジのファブリック全体でワークロードを管理できるようにする。これにより、企業の既存のハードウェアとクラウドリソースを兼ね備えたオンデマンドのKubernetes環境が構築される。Kazuhmは、専用ハードウェアの要件がなくなり、クラウドコストの削減を実現すると主張する。

 KazuhmのKaaSはクラウドの違いには依存しない。企業がどのクラウドベンダーを選択しても、一貫したユーザーインタフェースを提供する。

コマンドの複雑さの軽減

 ユーザーは(「Amazon Web Services」や「Google Cloud」などの)異なるクラウドでコンテナを管理するためのコマンドや具体的な方法を知る必要がない。

 「プッシュボタン」式のアプリケーション導入方法もあるため、(データサイエンティストやデータエンジニアなどの)DevOps担当者以外のユーザーもコンテナベースのアプリケーションをセットアップしてから導入することができる。

 本稿執筆時点では、最大10個のオンプレミスノードでKazuhmのKaaSを無料で利用できる(「Kazuhm Basic」)。管理できるクラウドリソース数に制限はない。

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