同じ「macOS」の脆弱性なのに、以前のバージョンのmacOSへのパッチ配布が後回しに――。こうしたAppleの姿勢に、セキュリティベンダーMalwarebytesが苦言を呈する。
MalwarebytesでAppleのクライアントデバイス「Mac」およびモバイルデバイス分野の担当ディレクターを務めるトーマス・リード氏の説明によれば、AppleがクライアントOS「macOS Big Sur」における脆弱(ぜいじゃく)性「CVE-2021-30869」を修正してから約7カ月間、同社は以前のバージョンである「macOS Catalina」の同脆弱性を修正しなかった。CVE-2021-30869は、AppleのクライアントOS「macOS」が採用するカーネル(OSの中核プログラム)「XNU」の脆弱性だ。
2021年4月開催のセキュリティカンファレンス「Zer0con」では、セキュリティ研究者がCVE-2021-30869を詳細に解説した。「それにもかかわらず、パッチは未配布のままだった」とリード氏は説明。「攻撃者は攻撃活動を検出されることなく、macOS Catalinaを利用する人を狙うことができた」と問題を指摘する。
Appleは2021年2月にmacOS Big Surのバージョン11.2を公開した当初、CVE-2021-30869の修正をリリースノートに記載しなかった。CVE-2021-30869を修正したことをリリースノートに追記したのは、macOS Catalina向けのCVE-2021-30869修正パッチを公開した2021年9月だった。
こうしたAppleの行動に対して、リード氏は「非常に不審に思う」と述べる。その理由についてリード氏は、以下の2つの可能性を挙げる。
「macOS Catalinaの修正が遅れたことは、『macOSの最新バージョンの修正に関してのみAppleを信頼できる』ということだ」とリード氏は話す。2021年11月時点で、macOSの最新メジャーバージョンは「macOS Monterey」だ。「あなたが古いmacOSを使っている場合、それは自己責任ということになる」と同氏は指摘する。
Appleのセキュリティに関する動向は過去にもやり玉に挙げられた。米TechTargetがAppleに不満を抱える複数のバグハンター(脆弱性を探し出し、バグ報奨金プログラムに報告するセキュリティ研究者)に取材したところ、「Appleはコミュニケーションが不十分で、セキュリティ研究者を適切に評価していない」との批判があった。
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