攻撃を防ぐために重要だが従業員にはあまり人気がないセキュリティ研修。その内容や情報の伝え方に工夫を凝らせば、学習効果を高め、セキュリティの強化につなげられる。どうすればいいのか。
セキュリティ研修は企業を攻撃から守るために重要な役割を果たしている。最新の脅威について情報を伝え、防御策として個人が取るべき行動を従業員にレクチャーできるからだ。しかし実際には研修内容が退屈なため参加者の興味を引かず、研修は本来の目的を果たさないケースがある。
大半の従業員はセキュリティ研修の受講で時間を取られ、仕事に悪影響が出た経験を持つ。人事部から受講のリマインドメールがしつこく届き、「修了しないと上司に知らせる」といった“脅し”を掛けられる人もいる。その結果、その従業員はやむを得ず研修を受講するが、研修内容に熱心に耳を傾けて「学び」を得るとは考えにくい。
セキュリティ研修は最後にテストを設けることがある。ただしテストは、研修内容を十分に理解していなくても正解できる仕組みになっていることがあり、合格は必ずしも「セキュリティの知識が深まった」という証しになるわけではない。
企業はセキュリティ研修のプログラムを開発する際、「人間の心理構造」を念頭に置く必要がある。研修内容を魅力的に伝えなければ、参加者の心をつかめないからだ。セキュリティ研修がうまくいかなかった企業は攻撃を受けるリスクが増える。そのため企画段階で、内容の魅力的な伝え方について知恵を絞り、研修の進め方に工夫を凝らすことは重要な取り組みとなる。
中編は、「効果的な」セキュリティ研修のプログラムをどう作ればよいのかを考える。
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