「Kajit」は誰だ――匿名性が生んだランサムウェア攻撃者間の疑心暗鬼失われ始めた攻撃者同士の信頼【前編】

攻撃者にとって「匿名性」は自らを保護する上で重要な意味を持つ。しかし最近は匿名性が不利に働き、ダークWebで関係者同士の不信や対立が拡大している。何が起きているのか。

2022年03月26日 10時30分 公開
[Arielle WaldmanTechTarget]

 ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃者の間で不信感が高まっている。ランサムウェア“業界”では安全措置として、関係者の匿名性が根付いている。その匿名性は、さまざまな疑惑を引き起こす温床になる。

 Cisco Systemsのセキュリティ研究機関であるCisco Talosは、ランサムウェア「BlackMatter」や「LockBit」を使った攻撃活動の動向を分析している。Cisco Talosシニアインテリジェンスアナリストのアジム・ホジバエフ氏によれば、2021年半ば以降、BlackMatterやLockBitの攻撃者の間で摩擦が生じた。ホジバエフ氏は「BlackMatterのコントロールパネルの流出といった複数の事件が関係している」と説明する。

引き金は「Kajit」 ランサムウェア攻撃者間で広がる匿名故の不信感

 2022年に入り、ランサムウェア攻撃者の間の摩擦がエスカレートしてきたとCisco Talosはみる。そのきっかけは、「Kajit」と呼ばれる匿名人物に対する疑惑だ。

 ホジバエフ氏はこうみる。

  • Kajitはランサムウェア攻撃の共犯者を募集する情報共有サイト「RAMP」(Russian Anonymous Marketplace)を開設。同氏がLockBitの所有者ではないにもかかわらず、同サイトで「LockBitの管理者権限は完全に自分が有している」と主張した
  • それを発見したLockBitの所有者は不審に思い、Kajitを「法執行機関か警察の協力者」だと疑い注意を呼び掛けた
  • そのことが引き金になり、Kajitにとどまらず「ダークWeb」(通常の手段ではアクセスできないWebサイト群)で活動する匿名の人全般に不信感が広がった

 ランサムウェア攻撃者と被害者の間のコミュニケーションは、RAMPをはじめとするダークWebの情報共有サイトでされることが一般的だ。Cisco Talosによれば、身代金交渉といったデリケートな話がされるため、情報共有サイト運営者は「仲介役」としての信頼が重要な条件になる。そうした信頼が崩れ始め、「攻撃者は神経をとがらせるようになった」とホジバエフ氏は述べる。


 後編は、攻撃者間で不信感が生まれる原因を解説する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

AIの悪用でフィッシング攻撃が巧妙化、今後の予測と防御方法を解説

今や誰もが入手可能となったフィッシングツール。そこにAIの悪用が加わり、フィッシング攻撃はますます巧妙化している。本資料では、20億件以上のフィッシングトランザクションから、フィッシング攻撃の動向や防御方法を解説する。

技術文書・技術解説 ServiceNow Japan合同会社

限られた人材でインシデントや脆弱性への対応を迅速化、その鍵となるのは?

セキュリティ対策チームの57%が人材不足の影響を受けているといわれる昨今、インシデントや脆弱性への対応の遅れが、多くの企業で問題視されている。その対策として有効なのが「自動化」だが、どのように採り入れればよいのだろうか。

製品資料 LRM株式会社

開封率から報告率重視へ、重要な指標をカバーする標的型攻撃メール訓練とは

年々増加する標的型攻撃メール。この対策として標的型攻撃メール訓練を実施している企業は多い。こうした訓練では一般に開封率で効果を測るが、実は開封率だけでは訓練の効果を十分に評価できない。評価となるポイントは報告率だ。

製品資料 LRM株式会社

新入社員の情報セキュリティ教育、伝えるべき内容と伝え方のポイントは?

従業員の情報セキュリティ教育は、サイバー攻撃や人的ミスによる情報漏えいから自社を守るためにも必要不可欠な取り組みだ。新入社員の教育を想定し、伝えるべき内容や伝える際のポイントを解説する。

製品資料 LRM株式会社

2024年発生のインシデントを解説、組織全体でのセキュリティ意識向上が不可欠に

2024年の情報漏えい事故の傾向では、攻撃者による大規模攻撃の他、社員や業務委託先のミス・内部犯行によるケースも多く見られた。インシデント別の要因と対策とともに、今後特に重要になるセキュリティ意識向上のポイントを解説する。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/05/10 UPDATE

  1. 縺ゥ繧後□縺代〒縺阪※縺�k�溘€€縺セ縺輔°縺ョ縲後ョ繝シ繧ソ豬∝�縲阪r髦イ縺絶€�11蛟九�隕∫せ窶�
  2. 繧シ繝ュ繝医Λ繧ケ繝医�騾イ蛹也ウサ�溘€€縲後ぞ繝ュ繧ケ繧ソ繝ウ繝�ぅ繝ウ繧ー迚ケ讓ゥ縲搾シ�ZSP�峨→縺ッ菴輔°
  3. Apple繧偵□縺セ縺吮€應ク肴ュ」縺ェiPhone菫ョ逅�€昴�謇句哨縺ィ蜊ア髯コ諤ァ
  4. 繝ゥ繝ウ繧オ繝�繧ヲ繧ァ繧「髮�屮Black Basta縺ョ莨夊ゥア縺梧オ∝�縲€譏弱i縺九↓縺ェ縺」縺滓判謦�€��窶懈悽髻ウ窶�
  5. 縲瑚コォ莉」驥代r謾ッ謇輔≧縲堺サ・螟悶�繝ゥ繝ウ繧オ繝�繧ヲ繧ァ繧「蟇セ遲悶�譛ャ蠖薙↓縺ゅk縺ョ縺具シ�
  6. 縲窟pp Store縲阪d縲隈oogle Play縲阪〒窶懷些髯コ縺ェ繧「繝励Μ窶昴r隕区・オ繧√k譁ケ豕�
  7. 莠育ョ励d莠コ謇倶ク崎カウ縺ァ繧りォヲ繧√↑縺�€窟I繝ェ繧ケ繧ッ邂。逅�€阪€€2螟ァ繝輔Ξ繝シ繝�繝ッ繝シ繧ッ縺ョ豢サ逕ィ豕輔���
  8. 菫。鬆シ縺励※縺�◆Web繧オ繧、繝医′縺セ縺輔°縺ョ諢滓沒貅撰シ溘€€縲梧ーエ鬟イ縺ソ蝣エ蝙区判謦�€阪�謇句哨縺ィ縺ッ
  9. 繝ゥ繝ウ繧オ繝�繧ヲ繧ァ繧「縺ョ蜊頑焚莉・荳翫′窶懊≠縺ョ萓オ蜈・邨瑚キッ窶昴r謔ェ逕ィ窶補€戊ヲ矩℃縺斐&繧後◆繝ェ繧ケ繧ッ縺ィ縺ッ��
  10. Android繧ケ繝槭�縺檎、コ縺�7縺、縺ョ窶懷些髯コ縺ェ蜈�€吮€昴→縺ッ�溘€€莉翫☆縺舌d繧九∋縺阪�繝ォ繧ヲ繧ァ繧「蟇セ遲�

「Kajit」は誰だ――匿名性が生んだランサムウェア攻撃者間の疑心暗鬼:失われ始めた攻撃者同士の信頼【前編】 - TechTargetジャパン セキュリティ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ー

2025/05/10 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。