「IoC」だけでは不十分 セキュリティ対策を強化する手段とは?“常識”から見直すセキュリティ対策【後編】

猛威を振るうサイバー攻撃に対処するために、企業が導入すべき技術やプロセスとは何なのか。専門家の助言に沿って解説する。

2022年03月30日 08時15分 公開
[Aaron TanTechTarget]

 IPアドレスやハッシュ値(プログラムの固有値)など、攻撃の兆候を示す「IoC」(セキュリティ侵害インジケーター)は、セキュリティ対策に有効活用できるデータだ。セキュリティベンダーCrowdStrikeのAPJ(アジア太平洋・日本地域)サービスディレクターであるマーク・ガウディー氏は「IoCは有効な手段だ」と述べる一方で「脅威は迅速かつ容易に変化するため、IoCを唯一の武器とすべきではない」とも語る。

IoCだけじゃない、防御に有効なセキュリティ技術

 IoC以外に企業が活用すべきセキュリティ技術として、ガウディー氏は振る舞い検出エンジン、機械学習、脅威ハンティング(能動的な脅威の調査)を挙げる。それらに加えて「賢明な人が賢明な行動をする必要がある」と同氏は語る。「敵はたいていの場合、人であり、機械ではないからだ」(同氏)

 取引先やグループ企業などの関連企業を攻撃の足掛かりにする「サプライチェーン攻撃」が近年激化している。ガウディー氏は、全ての関連企業がどのようにサイバー脅威への対処や脆弱(ぜいじゃく)性の修正を実施しているのかを精査することを企業に推奨する。「そうすれば『この会社とは付き合いたい』『この会社のソフトウェアは信頼しよう』といった評価ができるようになる」と同氏は述べる。

攻撃者の“先を行く”対策の必要性

 ネットワーク管理ベンダーSolarWinds Worldwideが受けたサイバー攻撃をはじめとする、従来のセキュリティの概念を覆すサイバー攻撃を防ぐことは困難だ。だが企業は、敵の先を行くことで、サイバー攻撃を回避するチャンスを得ることができる。

 ガウディー氏は、サイバー攻撃の検出から阻止までのプロセスを「レース」に例える。レースは時間によって評価が決まる。セキュリティチームは攻撃者よりも速く進み、攻撃者の目的達成を防がなければならない。「攻撃者を遅らせ、封じ込め、排除できれば、長期的に見て戦いに勝利できる」と同氏は説明する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news148.jpg

天候と位置情報を活用 ルグランとジオロジックが新たな広告サービスを共同開発
ルグランとジオロジックが新たな「天気連動型広告」を共同開発した。ルグランが気象デー...

news130.jpg

“AI美女”を広告に起用しない ユニリーバ「Dove」はなぜそう決めたのか
Unilever傘下の美容ケアブランド「Dove」は、「Real Beauty」の20周年を機に、生成AIツー...

news099.png

有料動画サービス 34歳以下では過半数が利用経験、4割は1日1回以上利用
「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2024」を基に、テレビ画面での動...