英国の環境・食糧・農村地域省(Defra)は、ITサービスを提供することで各種の手続きをオンラインで実施できるようにしている。そのために同省が利用するレガシーシステムの老朽化が問題になっている。
英国の各省庁はデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に奮闘している。環境・食糧・農村地域省(Defra:Department for Environment, Food and Rural Affairs)もその一つだ。同省はDXの一環で各種ITサービスの提供に尽力しているものの、そのために同省が利用するレガシーシステムの老朽化が問題になっている。英国会計検査院(NAO:National Audit Office)はその状況を軽視しておらず、警鐘を鳴らす。
Defraは防疫や洪水対策、大気質監視といった、国の環境保全に欠かせないITサービスを複数提供する。例えば以下の手続きをオンラインで実施できるようにしている。
NAOは、Defraが抱えるレガシーシステムの現状をまとめたレポート「Modernising ageing digital services」を公開した。その中でNAOは、Defraが適切な技術への投資をしておらず、レガシーシステムへの依存が強まることを懸念点として挙げた。
レポートによれば、2022年7月時点で、Defraが運用するシステムの30%が開発元のサポート対象外となり、開発元がアップデートを実施しなくなった。これにより同省が提供するITサービスのレジリエンス(回復力)は損なわれ、サイバー攻撃の被害が発生するリスクが強まっている。
英国の財務省(HM Treasury)がDefraに提供したIT分野向けの資金は、2016年から2019年の間は約1億ポンドだった。2021年の歳出見直しを経て、2022年から2025年までの調達資金は約3億6600万ポンドに増加した。Defraは資金の増加について、「システムの運用やリスクの解消といった主要な分野には有用だが、より広域のDX推進やセキュリティ強化、レジリエンス確保のためには十分な額ではない」と指摘する。
NAOの責任者を務めるギャレス・デービス氏は、「政府はレガシーシステムの稼働に膨大なコストを費やしている」と指摘する。Defraの見積もりによると、2021年から2025年にかけて、同省は技術関連支出の76%をレガシーシステムのメンテナンスに費やす見込みだ。
後編は、レガシーシステムを運用する組織が押さえるべきポイントを解説する。
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