Googleの「Dual Run」は、なかなか進まなかったメインフレームからのクラウド移行を加速させることができるのか。Dual Runの特徴を整理する。
Googleは2022年10月に、クラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)の新サービス「Dual Run」を発表した。Dual Runは、メインフレームで稼働するワークロード(アプリケーション)のクラウド移行を容易にする。
Dual Runは、顧客のオンプレミスインフラとGCPでワークロードの並列処理を可能にするサービスだ。AccentureやKyndrylなどのITサービス事業者がDual Runの導入を支援すると、Googleは述べる。
スペインに本社を置く国際銀行Banco Santanderが開発したクラウド移行ツールを基に、Dual Runは構築されている。同行はメインフレームで稼働させていたワークロードをGCPに移行させた経験がある。
Googleによると、メインフレームのワークロードを完全にGCPへ移行させる前にDual Runを利用することで、ユーザー企業はメインフレームに影響を及ぼすことなく、クラウドサービスのワークロードをテストして調整できる。クラウド移行を終えた後は、既存のメインフレームをバックアップシステムやフォールバックシステムとして利用できるようになる。
ワークロードの処理方法やデータの保護方法の観点から、メインフレームを使い続けている銀行や医療機関、公共機関は少なくない。こうしたユーザー企業向けのクラウド移行の選択肢の一つとして、Dual Runの提供を進めるとGoogleは述べる。
「Googleをはじめとするハイパースケールクラウドベンダーは、クラウドサービスとオンプレミスインフラの互換性や相互運用性をアピールしている」。ITコンサルティング企業のEvaluator Groupでアナリストとして働くデイブ・ラッフォ氏はこう語る。
メインフレームのワークロードは、インフラの要件が厳しかったり、法規制によってデータの保管場所が制限されていたりして、クラウド移行が難しい傾向がある。クラウドベンダーがこうしたワークロードを自社のクラウドサービスに取り込むには「まずは魅力的な料金体系を用意し、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えることが必要になる」とラッフォ氏は話す。
後編は、GoogleのVMサービス「Compute Engine」の新しい仮想マシン(VM)タイプ「C3」シリーズと、C3シリーズを提供する同社の狙いを解説する。
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