専門家が“お気に入りの最新技術の優秀さ”を宣伝する騒々しいIT業界において、レガシーの代表格であるメインフレームは批判されるがままだ。メインフレームの実態はどうなっているのか。
クラウドサービスをはじめとした比較的新しい話題が注目を集める一方で、メインフレームの存在は忘れられがちだ。だがメインフレームは、さまざまな組織の重要なシステムを現役で支えている。“レガシー”の代表格であるメインフレームを、ユーザー企業はどうみていて、今後はどうなるのか。
メインフレームのユーザーイベント「GSE 2022 MAD Conference」が2022年11月に英国で開催された。イベント名にある「MAD」は、
の頭文字を取ったものだ。これは、現状のメインフレームの特質に関する一つのまとめ方として適切だと言える。
ユーザー企業は、メインフレームの存在をどう見ているのか。ソフトウェアベンダーUNICOM Globalの子会社であるMacro 4は、GSE 2022 MAD Conferenceで来訪者を対象に調査を実施した。メインフレームユーザー54人から回答を得た。
その調査によれば、回答者の83%は、さまざまなモダナイゼーション(最新化)の取り組みを通じて、メインフレームへの投資を継続すると答えた。回答者がイベントに参加していたという点では、この結果は“メインフレームに積極的なユーザー層の意見”である可能性があることは念頭に置かなくてはいけない。
メインフレームのモダナイゼーションの手法として、回答者が計画していると挙げた内容は以下の通り。
これらの数字を一見すると、メインフレームの今後の見通しは明るい。だが数字はさまざまな見方ができる。視点を変えると、回答者の54%は、メインフレームをハイブリッドクラウドの不可欠な要素とは考えていない。同様に回答者の60%は、モダンな開発ツールや手法に力を入れていない、ということになる。
筆者は、Macro 4のCTO(最高技術責任者)を務めるニール・エバンズ氏に、「ユーザー企業の戦略や計画に、メインフレームが正当に位置付けられないのはなぜか」と尋ねた。エバンズ氏はその理由の一つとして、「CxO」といった経営幹部の支持を取り付けるのが難しいことが少なくない点を挙げた。
メインフレームのユーザー企業では、経営陣はメインフレームを“ビジネスの継続に不可欠な存在”として受け入れている。その一方で、経営陣は「ディスラプティブ(創造的破壊をもたらす性質があること)な新技術や新製品」に惑わされがちだ。Macro 4のメインフレームR&Dマネジャーを務めるマイケル・ハリス氏は「経営陣がメインフレームの重要性を認識していない問題もある」と付け加える。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
YouTube広告の実店舗売り上げへの貢献を計測 インテージが「Sales Impact Scope」を提供開始
インテージがYouTube出稿による小売店販売への広告効果を計測するサービスを提供開始した...
2025年のデジタル広告業界の展望 日本のマーケターの優先メディアと課題は?
IASは、2025年におけるデジタル広告業界の主要なトレンドについて掘り下げたレポート「Th...
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年1月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。