女性開発者を増やし、ダイバーシティーを保つために、IT業界は何ができるのか。自らも女性開発者であり、インクルーシブな職場の実現を支援する女性、アナ・シードレ氏の考えとは。
IT業界は依然として“男性社会”であり、「ジェンダーダイバーシティー」(性的多様性)が叫ばれている。女性開発者の支援に取り組む、認証技術ベンダーOktaのインターナショナルデベロッパーリレーション責任者、アナ・シードレ氏の寄稿を紹介する。
STEM(科学、技術、工学、数学)分野に女性が少ないという統計を見れば、改善が必要であることは明白だ。この不均衡を正すため、企業が今すぐ実践できるシンプルな方法がある。
例えばダイバーシティー(多様性)に欠けるカンファレンスやワークショップ、ミートアップには不参加の意思を示すことだ。カンファレンスのパネリストや企業の取締役会の参加者は、白人と男性ばかりということがよくある。私が務めるOktaには、インクルージョン(包摂性:誰も排除しないこと)に配慮した取り組みへの参加を支援する行動規範がある。
Oktaは、女性のキャリア形成を支援する非営利団体「Girls in Tech」や、女性活躍を支援する求人情報サービス「WORK180」のパートナーだ。調査会社Great Place to Work Institute発表する、親にとって働きやすい会社の上位100社ランキング「Best Workplaces for Parents」の2022年版にランクインした。
職場のダイバーシティーに関する教育と支援を実施し、さらなるダイバーシティーの向上を目的とした「Women @ Okta」「Pride @ Okta」「People of Colour @ Okta」というコミュニティーもある。これらのコミュニティーは、
に取り組んでいる。
企業が真の進歩を実現するには、ビジネスのあらゆる部分で変革が必要だ。それは人材採用の段階から始まる。一部の分野の人事部門では、ダイバーシティーに関する認識がまだ不足しており、多様な人材をなかなか確保できていない。採用責任者が声を上げる必要がある。
私が就職活動をする場合、一緒に採用試験の最終段階に進んだ人の中に、異なるバックグラウンドの人が少なくとも1人は入っていない限り、内定を受け入れようと思わない。「インクルージョンに配慮したチーム」という目標と価値を反映した企業文化を形成しようとするなら、妥協はできない。
IT業界で働き始めようとする女性を支援する団体には「Women Who Code」「Techbridge Girls」などが存在する。より多くの女性にIT業界に入ってもらうには、さらなる取り組みが必要だ。こうした団体からの支援を受けた女性開発者や新人開発者に対して、企業はインターンシップや経済的支援を提供する必要がある。先輩の開発者も、女性や多様なバックグラウンドを持つ新人開発者を支援するために時間を割き、成功のために必要な知識を伝授してほしい。
私の娘が大人になる頃には、何も障壁がなく、どの業界を選んでも成長の機会があるようになっていることを願う。私は今、その一助になろうと努力している最中だ。娘がいつでも支援を受けることができ、無視される心配なく、職場で発言できるようになってほしい。そのためには、人材採用からイベント、コミュニケーション方法に至るまで、企業のあらゆる部分にダイバーシティーを徹底的に組み込む必要がある。IT業界をよりインクルージョンに配慮した業界に変えるには、開発者コミュニティーと企業の両方が小さな一歩を積み重ね続けなければならない。
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