ハイブリッドクラウドへの移行支援についてIBMと契約を結んでいたDelta Air Linesは、新たなパートナーとしてAWSを追加した。その意味とは。
Delta Air Lines(デルタ航空)は2022年7月、クラウドベンダーAmazon Web Services(AWS)と複数年の契約を締結したことを発表した。この契約の約1年半前、Delta Air LinesはIBMとの間で、クラウドサービスへの移行支援に関する複数年の契約を結んでいる。複数のクラウドベンダーとの協力を通じて、同社は何を目指すのか。
AWSのクラウドサービスを使い、Delta Air Linesは航空業界固有の規制要件を満たしつつ、業務の効率性とサービスの信頼性を追求する。それと同時に、データに基づく洞察をタイムリーに得るための、セキュリティの強固なITインフラを構築する。
Delta Air LinesがAWSのクラウドサービスを利用する狙いは、乗客が安全に搭乗するためのサービスを速やかに提供することで、乗客の利用体験を改善することにある。同社は乗客に提供するサポートサービスの改善を図る一環で、AWSのコンタクトセンターサービス「Amazon Connect」を利用する。
AWSとの協力において、従業員のスキルアップもDelta Air Linesは重視する。同社の従業員は、AWSが提供するトレーニングプログラム「DVTプログラム」(DVT:Designated Virtual Trainer)に参加し、クラウドサービスに関するアプリケーション開発や、データ管理などのスキル獲得を目指す。そのスキルを基に、従業員が乗客向けの新サービスの開発に取り組めるようになることが狙いだ。
Delta Air Linesは今後、世界各地の同社の従業員がDVTプログラムを利用できるようにする計画だ。「当社はAWSのクラウドサービスの利用を通じて、ITインフラを変革するだけでなく、組織全体で先進的な技術を使い、乗客の旅行体験が意義深いものになるように改善する」。同社のバイスプレジデント兼CIO(最高情報責任者)のラーフル・サマント氏はそう話す。
今回の契約では、Delta Air LinesがAWSを「優先的なパートナー」に位置付けることと引き換えにAWSがサービスを提供する。AWSとDelta Air Linesとの契約が、IBMとDelta Air Linesとの契約に何らかの影響を与えるかどうかは不明だ。
IBMとDelta Air Linesの契約は、Delta Air LinesのITシステムを、オンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する「ハイブリッドクラウド」に移行させることに焦点を当てている。その取り組みには、Red Hatのコンテナ管理ツール「Red Hat OpenShift」の活用が含まれる。
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