シンガポールの生命損害保険会社Great Easternは、DX実現に向けてアプリケーションのクラウド移行に取り組む。移行とその後の運用を成功させるために同社が採用した手法やツールを紹介する。
デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む、シンガポールの生命損害保険会社Great Eastern Holdings(以下、Great Eastern)。同社はクラウドインフラへの移行やアプリケーション開発を積極的に進めている。同社が取り入れた手法やツールを紹介する。
Great EasternでITグループのマネージングディレクターを務めるゲイリー・テー氏がDXで重視したのが、「Two-Speed IT」(2段変速IT)のコンセプトだ。これは、1つのチームがアジャイル開発を実施しプロジェクトを迅速に進める一方で、もう一つのチームは既存アプリケーションの安定稼働に努め、ビジネスに支障が出ないようにするやり方だ。
クラウドインフラへの移行に伴い、部門共通の運用モデルを取り入れる必要性が高まる。この運用モデルにはIT部門だけでなく、他の部門も含まれる。例えば、クラウドインフラ関連の支出の内訳を把握したい財務部門だ。
Great Easternはクラウド管理プラットフォーム(CMP)を導入している。このCMPは、異なるアプリケーションを管理するために必要なツール一式をまとめたもので、クラウドコストのガバナンス向上に役立つ。従業員はCMPを使用してプロジェクトごとに必要なリソースを選ぶことができ、コストはプロジェクトごとに請求される。「透明性を確保し、財務部門は各プロジェクトにかかっている金額を正確に把握できるようになった」とテー氏は説明する。
今後Great Easternはパブリッククラウドサービス、特に大手ハイパースケーラー(ハイパースケールデータセンターを運営するクラウドベンダー)が提供するVPC(仮想プライベートクラウド)サービスを利用する計画だ。狙いはVPCを利用して、より多くの計算能力を必要とするデータモデリングを実施する点にある。「クラウドバースト(通常はオンプレミスで稼働させているアプリケーションの処理を、需要に応じて一時的にパブリッククラウドに切り替えること)型のコンセプトをテストしているところだ」とテー氏は述べる。
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