シンガポールの保険会社Great Easternは、クラウドインフラへの投資を進め、独自のプライベートクラウドを構築した。その理由とは。どのような効果があり、今後は何を変えるのか。
金融機関がクラウドインフラへの投資を進めている。シンガポールの生命損害保険会社Great Eastern Holdings(以下、Great Eastern)もそのうちの一社だ。同社はどの技術に投資し、クラウドインフラで何を実現しようとしているのか。
Great Easternが投資するのは、独自のプライベートクラウド(リソース専有型の利用形態)とコンテナだ。同社がクラウドインフラの利用に着手し始めた頃はパブリッククラウド(リソース共有型の利用形態)の利用に関する規制が不透明だったため、同社はプライベートクラウドを選択した。
「プライベートクラウドで運用中のシステムは、いつでもパブリッククラウドでの運用に切り替えることができる」と話すのは、Great EasternでITグループのマネージングディレクターを務めるゲイリー・テー氏だ。「プライベートクラウドとパブリッククラウドクラウドサービスを組み合わせたハイブリッドクラウドでの運用も視野に入れている」(テー氏)
こうしたGreat Easternのプライベートクラウドへの投資が実を結び、同社は需要の増加に合わせてITインフラを拡張できるようになった。同社の保険商品の中では、契約満了後や解約時に顧客がまとまったお金を受け取れる貯蓄型保険プランが人気で、契約数が他の商品の何倍にも上る可能性がある。「クラウドサービスを使えば、簡単に新しいコンテナを立ち上げて需要に迅速に対処できる」とテー氏は語る。
他にもGreat Easternは、クラウドインフラへの移行によりハードウェア機器に対する投資額を33%削減した他、保険数理モデリング(保険リスクの評価計算)用のソフトウェア開発を迅速化することもできた。「アクチュアリー(保険数理士)チームは、早ければ1週間以内に保険商品をモデリングし、商品として販売できるようになった」(テー氏)
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