データセンター設計の認定機関が実施した調査が焦点を当てたのは、データセンター事業者に求められる、ある対策だ。データセンター事業者は何に取り組む必要があり、何が足りていないのか。
データセンター設計の認定機関Uptime Instituteは、データセンターに関する年次レポート「The Uptime Institute Global Data Center Survey 2022」を2022年9月に公表した。データセンターを運用する事業者が、炭素排出量や水の使用量を含めて、自社施設が環境へ及ぼす影響について適切に把握できていない状況が明らかになった。同機関はこの現状に警鐘を鳴らす。データセンターを持つ事業者は、何に取り組めばいいのか。
Uptime Instituteは、世界中のデータセンターのオーナーや事業者約800人と、データセンターのサプライヤーや設計者、アドバイザー約700人を対象に、2022年前半に調査を実施した。
レポートによると、データセンター施設の炭素排出量と使用水量の統計を作成し、報告している事業者は、それぞれ37%と39%だった。炭素排出量の報告している事業者のうち、「Scope 1」(直接排出量)と「Scope 2」(間接排出量)のデータを算定していたのはわずか17%、Scope 1とScope 2に加えて「Scope 3」(その他の排出量)のデータを算定していたのは12%に過ぎなかった。Scope 1、Scope 2、Scope 3はそれぞれ、GHG(温室効果ガス)排出量の国際的な算定基準「GHGプロトコル」が定める算定区分を指す。
一方で、調査に参加した事業者のうち63% が、2022年から5年以内に、事業を展開する地域の管轄当局から、環境負荷に関するデータの公表が義務付けられると予測していた。
レポートは、炭素排出量が企業の主要な懸念事項となる可能性があると予測する。世界中で施行される新しい法律や規則の下で、企業やその顧客は、環境負荷に関するデータの報告を求められるようになると考えられるからだ。
Uptime Instituteはデータセンター事業者に対し、法規制によって義務付けられる前に、炭素排出量や使用水量に関するデータの報告に着手するよう助言する。データセンター建設の認可を判断する際、この種のデータが利用されることが珍しくなくなっているためだ。
データセンターにおける使用水量を最小限に抑えるか、ほぼゼロになるよう設計されている場合に限り、自治体がデータセンター開発を認可する動きが広がってくるとUptime Instituteは予測する。環境関連の法規制は、データセンターの施設設計や使用する製品選定に強い影響を与える。水をほぼ使用しない、または一切使用しない冷却設備の使用が義務付けられる可能性もあると、同機関は指摘する。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。
ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。
CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?
オンラインストレージは幅広い用途で利用されるだけに、市場に提供される製品も多数に上る。最適なサービスを選定するための基礎知識を解説するとともに、ユーザーレビューから分かったサービスの違いを明らかにする。
中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。