このままデータが増え続けた場合、何が起きるのか。これは楽観できる問題ではない。企業は将来のデータ保管の方法を真剣に考えなければならない。
企業やデータセンターは今後、増え続ける膨大なデータを将来にわたって保管することができるのだろうか。「空き容量なし」と伝えて降参するのか。新しいデータを保管するために古いデータを消し続けるのか。それとも、膨大なデータを保管するための新たな方法が登場するのか。その答えを探ってみよう。
調査会社IDCは2018年に発表した調査レポート「Data Age 2025」で、2025年までにストレージを必要とするデータは175Z(ゼタ)Bに及ぶと予測した。ストレージ業界のさまざまなイベントで、登壇者は将来のデータ量に関するこの予測値を好んで引用してきた。
175ZBという数字は一見して大きく見えるが、2018年から2025年までの1年当たりの平均増加率にすると27%となる。この増加率で考えると、より現実味を帯びてくる。この予測は、わずか数年の間に、新たに大量のストレージが必要になる可能性を示唆している。
SSDとHDDのベンダーは、生産量を調整している。増産することも可能だが、供給過多になると製品の市場価格が暴落する可能性があるため、ベンダー各社は「ある程度の生産量にとどめることが得策だ」と判断している。
調査会社Objective Analysisによれば、SSDベンダーは約30%、HDDベンダーは約20%の割合で、毎年の生産量を増やす傾向にある。ベンダーは四半期ごとに生産量の増加率を見直し、それに基づいて生産能力を追加する。結果として、2025年までは「意図しない供給過多」が発生することはないと考えられる。
概して、企業はSSDよりもHDDにより多くのデータを保管する。HDDの生産量が1年で20%増加することと、データが1年で27%増加することを前提にすると、ストレージは次第に足りなくなる懸念がある。ストレージ不足は発生するのだろうか。
HDDをはじめとしたストレージが足りなくなる可能性は十分にある。ただし2025年までに話を限定すれば、ストレージ不足が危機的状況になるとは考えにくい。データの圧縮技術が進歩しているので、それがストレージの生産量の不足を補うと考えられるからだ。
将来は、DNA(デオキシリボ核酸)の配列を使ってデータを記録する「DNAストレージ」といった新技術が台頭し、1台のストレージで保管可能なデータ量が飛躍的に大きくなる可能性もある。とはいえ、企業のIT管理者は楽観せず、ストレージ不足を見越して準備しておくべきだ。
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