SSDの仕様として“市場から消える”との見方もあった「SATA接続」に、新しい動きがある。Micronの新SSDにアナリストが注目するポイントから、SATA接続の今後を考える。
ストレージインタフェース「SATA」(Serial ATA)で接続するSSDは、市場から消える――こうした見方が強い時期があった。だがSATA接続SSD市場の動向を見ると、この見方を変えなければならないことが分かる。アナリストはMicron Technologyが開発したSATA接続SSDから、ある変化を読み取っている。
Micron TechnologyはSATA接続SSDの新製品「Micron 5400 SSD」を開発した。このSSDが搭載するNAND型フラッシュメモリは、メモリセルを176層に積層している他、1つのメモリセルに3bitを格納する記録方式「TLC」(トリプルレベルセル)を採用している。調査会社Forward Insightsの創設者でアナリストのグレッグ・ウォン氏は、176層のNAND型フラッシュメモリの搭載は、「“レガシードライブ”に最新技術を取り入れる」という点で重要だと指摘する。
SATA接続SSDに搭載するNAND型フラッシュメモリの積層数を増やしたとしても、IOPS(1秒当たりの入出力数)などのパフォーマンスに大きな影響は生じないとウォン氏はみる。それよりも注目すべきは製造コストだ。「Micron TechnologyのSSD製造コストは約30%の削減効果が見込める。浮いたコストは何らかの形でユーザーに還元されるはずだ」と同氏は言う。
特にコストの低減はハードウェアベンダーに影響を与える可能性がある。ハードウェアベンダーは主に、Micron TechnologyやSamsung Electronics、SK hynix NAND Product Solutions(Solidigmの名称で事業展開)などからSSDを調達している。ハードウェアベンダーがどのSSDを調達するかを検討する上で、コストは重要な判断材料になる。SATA接続SSDの場合は、ストレージ向けの通信プロトコル「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)を使用するSSDよりも容量単価が下がりやすいメリットも見込める。
Micron 5400 SSDの容量は240GBから7.68TBまでをラインアップしており、HDDの代替が用途の一つになると考えられる。フォームファクター(形状や大きさに関する仕様)としては「2.5型」の他、ブートドライブ(コンピュータの起動時にOSの読み込みに使うストレージ)用の「M.2」もある。
以前はインタフェース規格「PCI express」(PCIe)やNVMeがSATAを代替すると考える向きが強かった。だがMicron 5400 SSDのように、SATA接続SSDに新しい技術を取り入れる動きがある。ウォン氏は「SATA接続SSDの市場はまだ続く」とみる。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
クラウド全盛期になぜ「テープ」が再注目? データ管理の最前線を探る (2025/4/24)
データの多様化と肥大化が加速 ファイルサーバ運用は限界? 見直しのポイント (2025/4/8)
Hyper-Vは「次の仮想化基盤」になり得るのか 有識者の本音を聞く (2025/3/14)
「生成AI」の自社運用に“ちょうどよいサーバ”の賢い選び方 (2025/3/12)
クラウドストレージは便利だけど検索性が課題? 東急建設の解決策は (2025/2/25)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...