生成AIの活用が広がるにつれて、その倫理的懸念やリスクに対処することが求められるようになった。企業は生成AIのリスクをどう捉えて対処しようとしているのか。アクセンチュアの寄稿を基に解説する。
本連載は、ITコンサルティング会社Accenture(アクセンチュア)で責任あるAIのグローバルリードを務めるアルナブ・チャクラボルティ氏と、データとAI部門のトップセンティル・ラマーニ氏による寄稿を基にしている。
テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)の活用場面が広がる中で、そのリスクに対処するための取り組みが急務となっている。2023年5月に広島で開催されたG7サミット(先進7カ国首脳会議)では、AIガバナンスが議論の中心的なトピックになった。同年4月に中国サイバースペース管理局(CAC)は生成AIの使用に関する規制法案を発表した。
生成AIをビジネスに取り入れることと、バイアス(偏見)やデータ保護、信頼性といった問題は切り離せない。企業の経営幹部は、このような生成AIの懸念をどのように捉えているのか。
企業が生成AIの活用を適切に進める上で鍵になるのが、「責任あるAI」(AI技術の利用において公平性や透明性、安全性の確保を考慮すること)だ。具体的には、企業は以下の点を考慮する必要がある。このような配慮を欠かさないことで、顧客との信頼関係構築や従業員のスキル向上を実現できる。
アクセンチュアが2021年8月〜9月にかけて1615人の経営幹部を対象に実施した調査では、責任あるAIを実践できているグローバル企業はわずか6%であるものの、42%の企業が「2024年末までに責任あるAIの実現を目指している」と回答した。この数字は、企業がAIに関する規制を障壁ではなく、機会として捉えている傾向を示唆している。
企業は生成AIを適切に利用することで、イノベーション促進や意思決定の迅速化、顧客体験の向上といった効果につなげることができる。その上で重要になる「責任あるAI」を実現するには、政府や監督機関、企業、さらには社会全体が協力して、責任あるAIのフレームワークを確立することが望ましい。
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