サステナビリティ(持続可能性)推進に悩む企業にとって、AIツールは課題解決の一つの手段となる。その具体的な機能や活用方法とは。Subwayの導入事例と併せて紹介する。
世界中で環境に関する法律の厳格化が進み、サステナビリティ(持続可能性)に対する消費者の意識は高まっている。このような状況を背景に、企業はビジネスプロセスや製品を環境に配慮したものにする取り組みを進めようとしている。だが「ESG」(環境、社会、ガバナンス)の方針をビジネスプロセスに組み込むことは簡単なことではない。
サステナビリティ推進がうまくいかないという課題を持つ企業にとって、ツールの使用は一つの選択肢となる。Ubuntoo社は飲料メーカーCoca-Colaの元バイスプレジデントピーター・シェルストラテ氏とヴェンカテーシュ・キニ氏が2018年に創立した企業で、サステナビリティ特化型のツール「Ubuntoo」を提供する。Coca-Colaをはじめ、経済誌Fortuneによる企業売上高ランキング「Fortune 500」に名を連ねる企業がUbuntooを導入している。同ツールは、企業のサステナビリティ推進をどのように支援するのか。具体的な機能や成果を、ファストフードチェーンを運営するSubwayの導入事例と併せて紹介する。
サステナビリティ推進がうまくいかないという問題の大半は、目標の達成に必要なスキルや知識、経験の不足によって発生する。Ubuntoo社は5年以上の歳月をかけて構築した専門的なデータベースとAI技術を用いて、顧客企業の状況に合わせた解決策を提供する。例えば以下のような内容だ。
Ubuntooは、データ収集から統合、分析までの一連の流れを一本化した「データパイプライン」で構成される。データは公共と民間の情報を基にしている。
ファストフードチェーンを運営するSubwayは、Ubuntoo導入企業の一社だ。同社でEMEA(欧州、中東、アフリカ)担当プレジデントを務めるマイク・キーホー氏は、ツールの導入成果について次のように評価する。「Ubuntooに格納された専門知識とAI技術を活用することで、従来利用していたコンサルティングサービスよりも少ない費用で、最新の情報に基づいた意思決定を実現できた」
SubwayによるUbuntoo活用事例の一つが、サステナビリティを考慮した制服の開発だ。同社はUbuntooから得た情報を基に、店舗スタッフが着用する制服の素材をリサイクル済みのペットボトルに変えた。2023年5月以降、英国、アイルランドおよび欧州全土の店舗に新しい制服が導入されている。他にもSubwayは、サステナビリティを考慮した包装の実現や二酸化炭素(CO2)排出量削減といった目標達成に向けて、Ubuntooの活用を進めている。
Ubuntoo社は大規模言語モデル(LLM)を活用した「Ubuntoo AI」を発表している。Ubuntoo AIはOpenAIのAIチャットbot(AI技術を活用したチャットbot)「ChatGPT」を採用しており、ユーザーは対話形式でサステナビリティに関する問題の解決策や、業界のベストプラクティス(最善と考えられている方法)を探せる。シェルストラテ氏は、ChatGPT以外のLLMを採用したり、LLMが学習するデータソースを追加したりすることも検討していると補足する。
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