環境保護・社会貢献と経済成長を両立させる「サステナビリティー」。その確保に、実はWeb会議ツールが役立つという。どういうことなのか。専門家の見解を基に検証する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を機に、Web会議ツールは急速に普及した。実はWeb会議ツールは、環境保護や社会貢献といった取り組みと経済成長を両立させる「サステナビリティー」(持続可能性)の確保につながるとの見方がある。
Web会議ツールには、よく知られた売り込み文句がある。「Web会議ツールを導入すれば出張の必要がなくなり、CO2(二酸化炭素)排出量が減る」というのがそれだ。実際に「Web会議ツールの利用は、出張によって生じるCO2はもちろん、従業員の通勤やオフィスのエネルギー使用によるCO2の削減につながる」と、調査会社Informaの技術調査部門Omdiaでプリンシパルアナリストを務めるプラチ・ネマ氏は述べる。
主要なWeb会議ツールはクラウドサービスだ。Web会議ベンダーは自社サービスを運営するデータセンターで、電力をはじめとしたエネルギーを使い、CO2を排出する。これを上回るCO2排出量削減に、Web会議ツールが貢献する可能性があるとネマ氏は指摘する。CO2排出量削減を始めとする環境負荷低減は、サステナビリティー確保の主要な要素だ。
企業はWeb会議ツールを駆使することで、オフィスの所在地によらず、世界各地から優秀な人材を採用しやすくなる。「Web会議ツールをコミュニケーションツールとして利用し、チームを世界各地に分散させれば、地域に根付いた製品/サービスの開発が容易になる」とネマ氏は説明する。
場所を問わない働き方を実現すれば、サステナビリティーにつながる「多様性や包摂性(誰も排除しないこと)への取り組みが前進する」とネマ氏はみる。企業は近年、従業員や顧客、地域に貢献することが求められるようになっている。その手段として、Web会議ツールは「最適なツールになる」(同氏)。
第2回は、サステナビリティー確保の手段としてWeb会議ツールを利用する具体的なメリットと、活用時の注意点を紹介する。
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