Google Cloudの調査によると、企業はサステナビリティ活動に積極的に取り組みたいと考えながらも、具体的な行動や体制作りに苦慮している。解決の糸口はあるのか。
Googleのクラウドサービス部門Google Cloudは2023年4月に、サステナビリティ(持続可能性)に関する第2回年次調査のデータを公開した。それによると企業は、「ESG」(環境、社会、ガバナンス)の取り組みへの投資の優先順位を下げ、目先の増収につながる活動を優先させている。
第2回調査の結果は、2022年4月発表の第1回調査と同様の傾向を示していた。企業には「サステナビリティにもっと積極的に取り組みたい」という意欲があるが、経験や知識の不足から、経営幹部はどこから手を付け、何に力を入れるべきか分からない様子が見られた。
この調査はGoogle Cloudの委託で世論調査会社Harris Poll(Harris Insights and Analytics)が2023年1月に実施。16カ国の経営幹部1476人に対するアンケートで、自社のESG投資の優先順位などについて尋ねた。経営幹部の72%は「社内の誰もがサステナビリティの取り組みを進めたいと考えているが、その方法が分からない」と答えた。この回答は2022年の第1回調査から7ポイント上昇した。
2023年の第2回調査では、企業が「自社のサステナビリティ関連の意思決定について、誰が説明責任を負うべきか」の判断に苦慮していることも分かった。経営幹部の84%は「説明責任の所在が明確になり、社内体制が改善されれば、サステナビリティの取り組みの効果が上がるだろう」と答えた。
Google Cloudのグローバルサステナビリティ担当マネージングディレクターを務めるジャスティン・キーブル氏によれば、経営幹部は「サステナビリティの取り組みを統括する専任リーダーを置くことが、この取り組みを進める決め手になる」と考えている。キーブル氏は公式ブログのエントリ(投稿)で、次のように説明する。「経営幹部の83%は、強力なリーダーシップとアジャイル(俊敏)なチーム体制が目標達成に役立つと考えている。より正確な測定、明確な意思決定、そして創造性の発揮によって、企業はサステナビリティ目標とビジネス目標に向けて、スムーズに前進できる」
一方で、2023年の第2回調査からは、経営幹部の間で「グリーンウォッシュ」(環境対策活動を過大にアピールすること)への懸念が広がっている様子が読み取れる。経営幹部の59%が「自社のサステナビリティ活動を誇張して説明することがある」と認めていた。
グリーンウォッシュの懸念は、正確な測定の必要性を浮き彫りにしている。サステナビリティの取り組みを阻む障害の一つはツールの欠如だ。キーブル氏は「経営幹部は進捗(しんちょく)を追跡するシステムの改善を強く望んでいる」と指摘する。調査では経営幹部の87%が、自社により良い測定方法を導入し、より正確な目標設定に役立てようとしている状況が明らかになった。
「測定は重要だ」と、キーブル氏は強調する。「正確な測定ツールと野心的な目標を組み合わせることで、新たなチャンスが生まれる」(同氏)
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