事業変革に取り組む企業が陥りがちな誤りの一つが「個人への過信」だ。GoogleなどのIT企業は個人の力を過信するのではなく、何を信じているのか。
「デジタル企業に変わった」と言い張る経営者が目立つが、その道のりは口で言うほど容易ではない。2022年11月上旬に調査会社Gartnerが主催したカンファレンス「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」に登壇したアンドリュー・マカフィー氏は、事業の変革を目指す企業が陥りがちな点を指摘した。マサチューセッツ工科大学(MIT)のMIT Initiative on the Digital Economyの共同設立者兼共同ディレクターを務めるマカフィー氏が問題の一つに挙げるのは、「個人を過信すること」だ。
メディア企業Guardian News & Mediaが2014年に公開した記事「Why Google has 200m reasons to put engineers over designers」によると、GoogleはWebサイトの設計上の判断をする際、A/Bテストの結果とメトリクスを根拠に使っている。Googleは「優秀で尊敬される設計者が考えたことが正しい」とは考えないということだ。
ソフトウェア開発でアジャイル開発の手法を取り入れるのも、「個人の力を過信しない」という意味で捉えることができる。アジャイル開発は、ソースコードが仕様通りに機能する状態を実現するために、迅速なイテレーション(短期間で繰り返す開発サイクルの単位)と透明性を重視しているからだ。
マカフィー氏は、報酬が高額なコンサルタントや専門家が下す意思決定のことを「Hippo」(Highly paid person’s opinion:高報酬者の意見)と呼び、警鐘を鳴らす。大手IT企業でHippoは影を潜めつつあるという。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製
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