Appleは2023年第2四半期(1〜3月期)の業績を発表した。「iPhone」「Mac」など各デバイスの業績や、同社のデバイス事業の戦略について解説する。
Appleは2023年第2四半期(1〜3月期)の業績を発表した。厳しいマクロ経済環境は、「iPhone」「Mac」など各デバイスの売り上げにどのような影響を与えたのか。同社は今後、デバイス事業でどのような戦略を打ち出すのか。
Appleの2023年第2四半期の売上高は948億ドルで、前年同期から3%の減少だった。iPhoneシリーズの売上高は、前年同期比2%増の約513億ドルと、第2四半期としては最高を記録した。
iPhoneの売り上げが好調だったのに対し、タブレット「iPad」シリーズの2023年第2四半期の売上高は、前年同期比13%減の約67億ドルだった。ウェアラブルデバイスの売上高は約88億ドルと、前年同期とほぼ同じだった。
Macの2023年第2四半期の売上高は72億ドルで、前年同期から31%減と大幅に減少した。Appleの最高財務責任者(CFO)ルカ・マエストリ氏はこの結果について、「厳しいマクロ経済環境に加え、『Apple M1 Chip』(Apple M1チップ、以下M1)の刷新版を搭載したデバイスを発売した前年との違いが出た結果だ」とコメントする。M1は、Appleが独自開発したArmアーキテクチャベースのSoC(プロセッサなどシステムの構成要素を1つのシリコンチップに集約した製品)だ。
一方で、Macのインストールベースは全ての地域で過去最高を記録しており、Armアーキテクチャベースの自社開発CPU『Apple Silicon』(Appleシリコン)へのアップグレードは引き続き好調だという。
PCの販売が落ち込んでいるのはAppleだけではない。調査会社IDCによると、2023年1月〜3月期は、PCの需要低迷や過剰在庫、マクロ経済状況の悪化といった要因により、従来型PCの出荷が急激に減少したという。IDCの調査によると、2023年1月〜3月期のPCベンダーの市場シェアはLenovo(22.4%)、HP(21.1%)、Dell Technologies(16.7%)と続き、Apple(7.2%)は4位となった。ASUSTeK Computer(6.8%)とは僅差だった。
コンシューマー重視というAppleの方針は変わらないものの、新しい動きも見られた。投資家向け情報提供サイト「Seeking Alpha」によると、AppleのCEOティム・クック氏は業績発表の中で、法人事業の拡大への熱意を示した。特に同社が注力するのが、「BYOD」(Bring Your Own Device:私物デバイスの業務利用)市場だ。従業員にデバイスの選択肢を提供する企業が増えることで、Appleは利益の増加を見込める。「仕事にMacやiPadを使いたい人はたくさんいる」とクック氏は話す。
他にもAppleは同社の製品とサプライチェーンにおいて、2030年までに「カーボンニュートラル」(CO2排出量と吸収量の相殺)を実現するという目標を掲げている。「長期的な投資を継続し、当社の価値観に基づいて業界をリードしていく」とクック氏は話す。
後編は、Appleのサービス事業の業績について紹介する。
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