Wi-Fi「6GHz帯」の意外な活用法とは? 無線LANの業界団体WBAが注目の訳地方の情報格差を解消する「Wi-Fi」【中編】

通信サービスが十分に行き届かない地域のインターネット接続を強化する手段として業界団体が注目する「Wi-Fi」の6GHz帯。その具体的な活用方法を探る。

2023年06月06日 05時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)が2022年11月に公開した報告書「Rural Wi-Fi Connectivity: Challenges, Use Cases and Case Studies」は、「Wi-Fi」がある問題の解決につながる可能性に触れた。その問題とは、インターネット接続が不十分もしくは全く利用できない地域における、デジタルデバイド(情報格差)だ。

 WBAは規制当局に向けて、Wi-Fiの能力を最大限に生かして地域の情報格差を解消することを提案している。その代表的な例が、6GHz帯の周波数帯を使用可能にすることだ。どのような利点が見込めるのか。

6GHz帯「Wi-Fi」の意外な活用法とは

 通信事業者が6GHz帯の周波数帯を使うことで、より多くのエンドユーザーが、インターネット接続における必要な速度を確保できるようになるとWBAは見込む。通信サービスにおけるユースケースの一例が、Wi-Fiのマイクロ波を経由して、地方にインターネット接続を提供する活用法だ。この例では、河川や山、岩壁など、ケーブルの敷設が難しい地域に、コストや時間がかかる課題を回避しつつ通信サービスを提供することが可能になる。

 無線LAN規格の「Wi-Fi 6」(IEEE 802.11ax)を用いることで、免許不要で使用できる周波数の帯域幅が広がる。データ伝送速度は「1Gbps」(bps:bit per second)に達する可能性がある。インドの通信事業者Bharat Sanchar Nigamは、同様の仕組みを基にしたネットワーク「Bharat Air Fiber」を提供している。

 携帯電話事業者がWi-Fiを用いて、固定用およびモバイル用のブロードバンドサービスを提供する事例もある。1平方キロの地域と人口約4000人をカバーできる通信設備を設置する場合、設備投資と運用コストは携帯電話基地局を設置するよりもWi-Fiを使用した場合の方が、一般的には安く済む。そのコストには以下のコストも含まれる。

  • アンテナ
  • バッテリー
  • 電柱とアース線
  • ケーブル
  • 中継回線であるバックホール
  • LANケーブルで電力供給するPoE(Power over Ethernet)
  • ソーラーパネル
  • ソーラーパネルからの充電を制御する充放電コントローラー

 後編は、他技術と比較したWi-Fiの優位性や、実際の活用事例について詳しく紹介する。

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