「Wi-Fi 6」も「5G」も使うのは無駄? 本当に必要なのは何?“大成功した無線通信”の歴史と今後【第8回】

類似する特徴が幾つかある「Wi-Fi 6」と「5G」。両方を使うのか、どちらかを使うのかが今後より重要になる可能性がある。両者の違いを踏まえて使い方を考えることが不可欠だ。それぞれ、どのように使えばよいのか。

2023年05月11日 05時00分 公開
[John BurkeTechTarget]

 無線LAN規格「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)と、モバイルネットワークの規格「5G」(第5世代移動通信システム)に共通する特徴は少なくない。両方とも、デバイスの存在が高密度になる場所での接続の安定性や、データ伝送速度の高速化、消費電力の低減などに主眼を置いている。無線LANとモバイルネットワークは、そもそもは競合する技術ではない。だが、その見方は変わりつつある。

「Wi-Fi 6」と「5G」はこう使い分けるべし

 無線LANはLANの無線化、モバイルネットワークは外出先でのインターネット接続という主な用途を踏まえると、両者は競合する通信技術ではない。だがWi-Fi 6と5Gになると、競合する部分が目立ち始める。

 例えば小規模な支店であれば、無線LANの機器を設置しなくても、5Gの通信だけで用が済む可能性がある。無線LANの代わりに5Gを使用することは、今後ますます一般的になると考えられる。

 組織独自のプライベートネットワークとしては、無線LANを利用することが従来は一般的だった。だが5Gでは占有型のネットワークである「プライベート5G」(ローカル5G)という選択肢があるため、見方を変えなければならない。組織は無線LANではなくプライベート5Gを使い、大規模な工場や空港における通信を高速化することが可能になる。

 5Gのサービスプロバイダーは、回線を論理的に区切る「ネットワークスライシング」を用意している。これによって用途に応じて帯域幅を使用し、遅延やデータ伝送速度などのパフォーマンスを制御できる。

 無線LANとモバイルネットワークの特性が似通ってくると、用途を見極める際の焦点は、地域的な利用範囲の違いに絞られる可能性がある。それは電波を使う際に免許が必要なのか、不要なのかといった問題に関連する。利用範囲の違いで考えると、無線LANよりもモバイルネットワークの方が広範囲になりやすい。基本的にプライベート5Gを運用するには免許が必要で、無線LANは免許が不要だ。

 今後は無線LANとモバイルネットワークのどちらかを使うのではなく、両方とも連携させて使うことも実現する可能性がある。企業は将来的に、オフィスや自社の敷地内で使う無線LANと、その外部で利用するモバイルネットワークを、シームレスに使える状況が来ると期待できる。

 無線の使い勝手を高めるためには、使う場所だけではなく、ネットワーク接続の状況の良しあしまでも加味して、シームレスにネットワークを切り替えられるかどうかが重要になる。それが実現すれば、企業は場所を選ばない働き方の快適性をより高めやすくなる。

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