「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)に至るまでの無線LAN“大進化”の系譜“大成功した無線通信”の歴史と今後【第4回】

「IEEE 802.11」や「Wi-Fi」の名称で広く知られる無線LANは、1990年代後半から2000年代前半にかけての初期から2020年代に至るまで、多彩な進化を遂げてきた。その系譜とは。

2023年05月04日 05時00分 公開
[John BurkeTechTarget]

 2023年現在で標準化済みの最新規格「IEEE 802.11ax」に至るまで、さまざまな進化を遂げてきた無線LAN。そのビジネスが大成功した理由を紹介した前回に続き、今回はIEEE 802.11の初期バージョン以降に登場した主要規格について、進化のポイントと特徴を紹介する。

「IEEE 802.11ax」に至るまでの主要規格の進化

 無線LANの標準規格「IEEE 802.11」は1997年に誕生して以来、基本的には数年置きに新バージョンが出ている。規格を策定する米国電気電子学会(IEEE)は、企業のニーズに応えるために数々の進化を新バージョンに盛り込んできた。

 1999年に「IEEE 802.11a」と「IEEE 802.11b」が標準化した後の規格は以下の通りだ。

IEEE 802.11g

 IEEE 802.11gは2003年に標準化。データ伝送速度は最大54Mbpsと、前世代IEEE 802.11bの2倍以上まで向上した。利用する周波数帯は2.4GHz。

IEEE 802.11n

 IEEE 802.11nは2009年に標準化。周波数帯は2.4GHzまたは5GHzを使用する。「MIMO」(Multiple Input, Multiple Output)という技術を導入したことで、データ伝送速度を大きく向上させることが可能になった。MIMOは、送信側と受信側で複数アンテナを同時に使う。

IEEE 802.11ac

 IEEE 802.11acは、2014年に標準化。無線LANの普及を推進する業界団体Wi-Fi Allianceによる認証プログラムでは「Wi-Fi 5」と呼ぶようになっている。データ伝送速度は、理論上は1Gbps以上まで高速化することが可能になった。

 「MU-MIMO」(マルチユーザーMIMO)という技術をIEEE 802.11acは導入した。マルチユーザーMIMOは、前述のMIMOを複数のクライアントデバイスにおいて同時に利用可能にする技術。クライアントデバイスが高密度で存在する利用環境において、データ伝送の高速化と安定化を実現することを重視している。

IEEE 802.11ax

 IEEE 802.11axは2021年に標準化。Wi-Fi Allianceによる認証プログラムでは「Wi-Fi 6」と呼ぶ。2023年現在で標準化済みの最新規格として、普及が進んでいる。データ伝送速度を高めることや、より多くのクライアントデバイスの接続を安定させるという進化の方向性は継続している。


 次回(第5回)は、大きな進化を遂げたIEEE 802.11axをより具体的に紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...