「IEEE 802.11」や「Wi-Fi」の名称で広く知られる無線LANは、1990年代後半から2000年代前半にかけての初期から2020年代に至るまで、多彩な進化を遂げてきた。その系譜とは。
2023年現在で標準化済みの最新規格「IEEE 802.11ax」に至るまで、さまざまな進化を遂げてきた無線LAN。そのビジネスが大成功した理由を紹介した前回に続き、今回はIEEE 802.11の初期バージョン以降に登場した主要規格について、進化のポイントと特徴を紹介する。
無線LANの標準規格「IEEE 802.11」は1997年に誕生して以来、基本的には数年置きに新バージョンが出ている。規格を策定する米国電気電子学会(IEEE)は、企業のニーズに応えるために数々の進化を新バージョンに盛り込んできた。
1999年に「IEEE 802.11a」と「IEEE 802.11b」が標準化した後の規格は以下の通りだ。
IEEE 802.11gは2003年に標準化。データ伝送速度は最大54Mbpsと、前世代IEEE 802.11bの2倍以上まで向上した。利用する周波数帯は2.4GHz。
IEEE 802.11nは2009年に標準化。周波数帯は2.4GHzまたは5GHzを使用する。「MIMO」(Multiple Input, Multiple Output)という技術を導入したことで、データ伝送速度を大きく向上させることが可能になった。MIMOは、送信側と受信側で複数アンテナを同時に使う。
IEEE 802.11acは、2014年に標準化。無線LANの普及を推進する業界団体Wi-Fi Allianceによる認証プログラムでは「Wi-Fi 5」と呼ぶようになっている。データ伝送速度は、理論上は1Gbps以上まで高速化することが可能になった。
「MU-MIMO」(マルチユーザーMIMO)という技術をIEEE 802.11acは導入した。マルチユーザーMIMOは、前述のMIMOを複数のクライアントデバイスにおいて同時に利用可能にする技術。クライアントデバイスが高密度で存在する利用環境において、データ伝送の高速化と安定化を実現することを重視している。
IEEE 802.11axは2021年に標準化。Wi-Fi Allianceによる認証プログラムでは「Wi-Fi 6」と呼ぶ。2023年現在で標準化済みの最新規格として、普及が進んでいる。データ伝送速度を高めることや、より多くのクライアントデバイスの接続を安定させるという進化の方向性は継続している。
次回(第5回)は、大きな進化を遂げたIEEE 802.11axをより具体的に紹介する。
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