2022年から2023年にかけてPCの需要は世界的に低迷し、各PCベンダーの出荷台数が落ち込んでいる。各ベンダーが受けた影響と、背景にある問題を解説する。
調査会社Gartnerによると、2023年第1四半期(1月〜3月)のPC出荷台数は世界的に低迷した。同社が2023年4月に公開した調査結果を基に、各ベンダーが受けた具体的な影響と、その背景を解説する。
Gartnerの調査によれば、主要PCベンダーの世界市場シェアは、2023年第1四半期と2022年同期でほぼ変わっていない。2023年第1四半期の出荷台数に占めるシェアはLenovoが23.3%で、前年同期と変わらず首位を維持した。
Lenovoの2022年第1四半期における出荷台数の成長率は、前年同期比30.2%減となり、GartnerによればLenovoにとって過去最大の落ち込みになった。特に米国市場では35.6%減と大きく落ち込んだ。日本市場では年度末のPC調達に支えられて緩やかに増加した。
HPの2023年第1四半期における出荷台数の成長率は前年同期比24.2%減で、7四半期連続で2桁台の減少となった。同期間中、EMEA(欧州、中東、アフリカ)における同社の出荷台数は37%減少した。一方で、米国市場では落ち込みが比較的緩やかで13.4%減だった。Dellは4四半期連続で出荷台数の減少が続いた。
Gartnerは主要ベンダーのPC出荷台数が落ち込む背景に、2023年第1四半期は法人向けPCの需要が特に低迷したことがあると説明する。同社でディレクターアナリストを務める北川 美佳子氏は、特に中堅・中小企業は不安定な経済の影響を受けやすいと指摘する。「ITは依然として中堅・中小企業における支出の主要分野だが、PCは製品寿命を延長できることから、予算削減の対象となりやすい」(北川氏)
PCとは対照的に、ソフトウェアやITサービスといった他のIT分野への支出は、2023年に成長するとGartnerは見込んでいる。
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