NVIDIAは生成AIやLLMの処理を効率化する新しいGPUを発表した。近年、AI技術の活用に乗り出す動きが企業に広がっている。企業が着目すべきGPUの特徴とは。
2023年11月13日月曜日(現地時間)、GPU(グラフィックス処理装置)ベンダーのNVIDIAはデンバーで開催された「Supercomputing 2023」(SC23)の特別講演で、新GPUの「NVIDIA HGX H200」(以下、H200)を発表した。SC23はスーパーコンピューティング、ネットワーク、ストレージの国際カンファレンスだ。
NVIDIAによると、H200はメモリにSK hynixの「HBM3e」を採用してメモリ容量を従来モデルから増やした。これは、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)と大規模言語モデル(LLM)の処理効率化に役立つという。具体的にはどのような進化を遂げたのか。
さまざまな企業が生成AIやLLMの活用に乗り出している。とはいえ、こうしたAIワークロード(AI技術を組み込んだシステム)を処理するには一定以上の容量のメモリが必要だ。「メモリ容量は企業にとってしばしば課題になる」とコンサルティング企業J.Gold Associatesの創設者兼アナリストのジャック・ゴールド氏は指摘する。
「AIワークロードは、CPUやGPUだけでなく、メモリにも負荷を掛ける。メモリの処理性能を追加するほど、AIワークロードの実行速度に違いが出る」(ゴールド氏)
NVIDIAによると、「Amazon Web Services」(AWS)や「Google Cloud」「Microsoft Azure」「Oracle Cloud Infrastructure」などが、2024年からH200を使ったインスタンス(仮想マシン)をデプロイ(配備)する最初のクラウドサービスになるという。一般提供の開始は2024年下半期になる見込みだ。H200は前世代のモデルである「NVIDIA HGX H100」と互換性があるため、NVIDIAのユーザー企業はサーバシステムの設計を見直すことなくH200を使用できる。
後編はNVIDIAの他の新製品の紹介や、近年の戦略を分析する。
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