メタバース損失続きのMeta、CPUを見限って「GPU」積極採用へ その真意は?テキストベースSNS「Threads」は未知?

Meta Platformsは2023年第3四半期(7月〜9月期)の業績を発表した。ザッカーバーグ氏が強調したのはSNS「Threads」やメタバース、インフラに関する点だ。その真意とは。

2023年12月25日 08時00分 公開
[Cliff SaranTechTarget]

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 「Facebook」「WhatsApp」「Instagram」などのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を提供するMeta Platformsは、2023年10月に第3四半期(7月〜9月期)の業績を発表した。売上高は341億4600万ドルで、前年同期比23%増となった。

 Meta Platformsの創業者で最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏は2023年第3四半期の主要な話題として、テキストベースのSNS「Threads」の他、「MR」(複合現実)関連サービスや、インフラへの投資などを挙げた。

メタバースはやっぱり駄目? CPUより「GPU」重視の理由は?

 Threadsは、Meta Platformsが2023年7月に発表したテキストベースのSNSだ。同社のCFO(最高財務責任者)を務めるスーザン・リー氏は、競合SNSと比較したThreadsの差別化ポイントを2つ挙げる。

 1つ目のポイントはオープン性だ。Meta Platformsは分散型で相互運用可能なシステムを採用している。SNS向けのプロトコル「ActivityPub」を使用すれば、「Mastodon」をはじめとする他SNSのユーザーもThreadsをフォローすることが可能だ。つまり、Threadsのユーザーやクリエイターは、他SNSのユーザーに向けても情報を発信できるということだ。

 2つ目のポイントは手の出しやすさだ。ThreadsはInstagramアカウントと連携して、テキストベースでのアイデアや意見を共有できる場を構築する。新しいSNSを始めるのは面倒だと感じるユーザーにとって、既存のInstagramアカウントがあればすぐ利用開始できる点はメリットだ。コミュニティーガイドライン(許可されている行為や禁止されている行為に関するポリシー)を重視した設計や、投稿やプロフィールの閲覧設定機能があるため、安心して利用できることも特徴だという。

 リー氏は、仮想空間「メタバース」戦略を担当するMeta PlatformsのReality Lab部門について、「損失が続いているものの、当社にとって最も成長が期待できる分野の一つだ」と説明する。2023年第3四半期、MR向けヘッドマウントディスプレイ(HMD)「Meta Quest 3」やスマートグラス「Ray-Ban Meta」、AIキャラクター構築機能「Meta AI Studio」を投入するなど、MR関連の製品投入を進めた。

 Meta Quest 3についてリー氏は、「高解像度のカラーでMRを提供するマス(消費者)向けヘッドセットとしては当社初の製品だ」と説明する。「VR」(仮想現実)向けHDMの「Meta Quest 2」と比較して、GPU(グラフィックス処理装置)による処理能力が強化されて操作の快適性が向上した他、レンズが40%スリム化したことで装着感が良くなったという意見が出ているという。Meta Quest 2用のコンテンツに加えて、MRコンテンツも利用が可能。将来的には「AR」(拡張現実)グラスの基礎となることを期待しているという。

 Meta PlatformsはAI(人工知能)技術用のインフラへの投資強化計画も説明した。同社が発表した2024年の設備投資予測額は300億ドルから350億ドルで、その内訳にはAI技術向けを含むハードウェアやサーバへの投資の他、2022年末に一度中断した新設計のデータセンター建設を再開したことに伴う工事費用などが含まれる。

 Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Googleといった競合ハイパースケーラー(大規模なデータセンターを持つ企業)と同様、Meta Platformsもデータセンターにおけるサーバのコスト削減に力を入れている。CPU(中央処理装置)の性能が頭打ちになりつつある状況を受けて、同社はCPUベースのサーバを買い控えてきたという。一方で「GPUには大幅な性能向上が見込める」とリー氏は語る。同社はAI技術に必要な性能を念頭に置き、CPUとGPUを効率的に使用する方法を引き続き検討するという。

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