企業の求人に対して求職者が送ってきた履歴書や職務経歴書の内容に、「生成AIを使っているかのような不信感」があった場合、企業はどのような対処をすればよいのか。専門家の見解は。
テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)の利用が広がる中で、就職活動において生成AIを利用する求職者が登場しつつある。この動向が、企業にとって新たな懸念になっている。求職者が生成AIを使って職務経歴やスキルを事実よりも誇張して記述したり、面接時の質疑応答に生成AIを使ったりする可能性を疑う必要が生じたからだ。
Web会議によるオンライン面接で、求職者が生成AIを「テレプロンプター」のように使って、質問の答えを生成して画面に映し出し、読みながら受け答えできるようになれば、企業の採用担当者には「求職者がリアルタイムで質問に答えている」ように見えてしまう。そうなると、採用担当者が面接を通じて求職者の実力を評価することは困難だ。
一般的に、巧妙な不正の手口が出現すると、同じように高度な対抗策が編み出されるものだ。生成AIを使って採用プロセスの欠点を都合よく利用しようとする求職者に対しては、人間の脳を使って対抗することが最善の策となる可能性がある。
システム管理ソフトウェアベンダーKaseyaでグローバル採用の責任者を務めるエリック・ランド氏は、企業の採用活動に生成AIが及ぼす影響を認識している。Kaseyaは求職者の採用プロセスを見直し、採用面接で具体的な情報を引き出せるようにするためのトレーニングを採用担当者と採用責任者に実施した。その結果、従来2~3時間を要した面接時間は、3~4時間に増える可能性があるという。
求職者にスキルの詳細や課題の解決方法について書面で回答させた場合、その方法や根拠を検討する過程も重要だ。「どうやって実施したのか」「なぜそれを実施したのか」という問いかけが重要だ、とランド氏は強調する。
求職者が生成AIを悪用する懸念を抱く一方で、Kaseyaの採用担当者も生成AIを採用活動に活用している。潜在的な候補者の職務経験を分析して効率的に見つけ出し、自社が求めるスキルに適した業務を同定した上で、候補者の人となりに基づいたメッセージを作成する――このような場面で生成AIが役立つという。
後編は、求職者が就職活動で生成AIを健全に活用する方法について考察する。
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