AIが使われない理由は「GPUがないから」とは限らない?AMDの調査結果から読み解く

AMDがITリーダーを対象に実施した調査から、企業はAI技術に期待を抱いていても、必ずしも導入に踏み切っているわけではないことが分かった。企業がAIツールの導入をためらってしまう理由とは。

2023年12月05日 08時00分 公開
[Cliff SaranTechTarget]

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 半導体ベンダーAdvanced Micro Devices(AMD)は2023年5月、Edelman Data & Intelligence(広報持ち株会社Daniel J. Edelman Holdings傘下の調査組織)に委託し、AI(人工知能)技術に対する企業の意識調査を実施した。対象となったのは、世界5カ国の2500人のITリーダーだ。AI技術を利用していない企業の状況や、企業がAI技術を利用しない背景が調査で明らかになった。

AIが使われないのは「GPUがないから」なのか?

 今回の調査によると、セキュリティや従業員トレーニングの負担に関する懸念はあるものの、AI技術を導入済みの企業では前向きな効果が現れていたことが分かった。AI技術を導入済みである企業の90%が、既に業務効率が向上したと回答した。「AI技術によって業務や従業員の作業効率が上がった」と答えたのは67%、「AI技術はより多くの成果を挙げ、仕事のプレッシャーを軽減し、セキュリティを管理するのに役立つ」と答えたのは75%に上る。

 AI技術を前向きに捉えているにもかかわらず、実際にAIツール(AI技術を活用したツール)を使用した経験がない企業が一定数存在することも調査結果から明らかになった。回答者のうち52%が自然言語処理アプリケーションを、47%が顔認識システムを、36%がプロセス自動化ソフトウェアを導入したことがないと答えた。

 ITリーダーは、AIツールが自社に効果をもたらし得ると考えてはいるものの、導入に向けた準備の状況は企業によって千差万別だ。中には「AI技術の目まぐるしい進化に付いていくのは難しい」と感じている企業もある。回答者の46%が、「自社はAIツールを導入する準備ができていないと答えた。「1年以内にAIツールを優先的に導入する」と答えたITリーダーは19%にとどまり、44%は「1〜5年以内に導入する」との見通しを示す。

最大の課題はハードウェア

 AIモデルのトレーニングは一般的に、強力なGPU(グラフィックス処理装置)を用いる。調査対象者の52%が、「自社にはAIワークロード(AI技術を組み込んだシステム)を稼働させられるITインフラがない」と回答した。調査報告書では、英国の回答者が記した「私の最大の懸念事項は、必要なハードウェアだ」という言葉が引用されている。

 AMDは、AIモデルの学習や推論を実行するためのプロセッサについて、「PC向けのAI用プロセッサは、クラウドサービスとして提供されるAI用プロセッサを補完するものであり、AIツールの導入に不可欠だ」という見解を示す。PC向けのAI用プロセッサを使って、AIモデルをPCで実行することで、従業員ごとにパーソナライズされた安全なAI体験を提供可能になるという。

 「企業はAIツールをいち早く導入することでメリットを得られる」と述べるのは、AMDの企業向けクライアントおよびワークステーション担当シニアディレクターを務めるマシュー・ウナングスト氏だ。「企業は焦点を絞ったAIツールの導入計画を立てる必要がある。さもないと取り残される恐れがある」とウナングスト氏は警鐘を鳴らす。

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