意思決定者の3分の2以上が「AI技術は組織変革の推進力になる」と考え、AI技術への投資を急いでいる。その一方、部下や自身の仕事について懸念があるようだ。
人工知能(AI)技術を好意的に捉える従業員がいる一方、管理職は部下や自身の仕事について懸念を抱いている。人事向けソフトウェアベンダーOrgvueが1000人の経営幹部・意思決定者を対象に実施した調査「Human-first, machine enhanced:the role of AI in workforce transformation」によると、彼らはAI技術への投資を急ぐ一方、幾つかの懸念を抱えていることが浮き彫りになった。管理職はAI技術の導入に際して、何を恐れているのか。
Orgvueが2024年3月に発表した調査レポートによると、経営幹部・意思決定者の82%が、2023年に生成AI、機械学習、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)、その他のAI技術に投資した。経営幹部・意思決定者の3分の2以上は「AI技術が今後3年間、組織変革の主な推進力になる」と期待を寄せる。一方、AI技術を導入する際の障壁として、専門知識や規則の欠如を挙げている。
調査に応じた経営幹部・意思決定者の93%が「従業員をAI技術に順応させるのは難しい」と考えていたのは驚くべきことではない。50%は「AI技術が従業員にどのような影響を与えるのかが不明」、48%は「AI技術をどのように管理すればよいか分からない」と回答。70%は「AI技術導入に伴う余剰人員の解雇から、従業員を守る責任がある」と答えた。
こうした疑念があるものの、依然としてAI技術への投資は増える見通しだ。33%の組織が2025年には投資額を50%以上増やす計画を立てており、69%の組織が2025年までに中核業務にAI技術を導入すると答えている。
一方、組織の51%が従業員に生成AIの使用許可を与えているが、その使用方法について明確な方針を定めている組織は37%にすぎない。
経営幹部・意思決定者は、世代の違いでAI技術をどの程度使いこなせるかどうかに差が出ると考えている。アルファ世代(2010年〜2024年に生まれた世代)とZ世代(1995年〜2009年に生まれた世代)には「AI技術を活用する準備ができている」という評価が集まった。一方ベビーブーム世代(1946年〜1964年に生まれた世代)とX世代(1965年〜1979年に生まれた世代)は「AI技術を活用する準備ができていない」という評価だ。組織の4分の3は、こうした世代のAI技術活用を支援するためにトレーニングプログラムやツールを導入する計画だ。併せて半数以上は、若年層の採用を優先するとしている。
OrgvueのCEOであるオリバー・ショー氏は「経営幹部・意思決定者は、組織内でAI技術が影響を及ぼす範囲を特定し、AI技術をどのように管理するかを定める必要がある」と指摘する。「われわれは、まだAI技術の黎明(れいめい)期にいる。AI技術がどのような範囲に影響を及ぼすかを予測し、従業員の再教育に努め、倫理的なAI技術の使用を促す必要がある」(ショー氏)
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