Appleが、量子コンピューティングを使った攻撃対策として打ち出した暗号化技術「PQ3」は、どれほどの防御力を持っているのか。セキュリティ専門家に聞いた。
2024年2月、Appleが同社インスタントメッセンジャー「iMessage」の新しい暗号化技術として発表した「PQ3」。量子コンピューティング(量子力学を用いて複雑なデータ処理を実施する技術)を悪用して暗号化されたデータを解読する攻撃からデータを守るための暗号化技術だ。この“Apple肝いり”の新暗号化技術は他の暗号化技術とは何が違うのか。
Apple によると、PQ3はiMessageのデータが侵害されるのを防ぐ機能を備えている。「PQ3ではメッセージの送信に当たり、定期的に新しい暗号鍵を作成する。新しい暗号鍵は過去の暗号鍵とは一切関係がない。そのため、攻撃者が過去の暗号鍵を入手してもメッセージの解読はできない」と同社は説明する。Appleによれば、これはPQ3特有の機能だ。
定期的に新しい暗号鍵を作成する機能は、Apple側のインフラで処理しなければならないデータ量の増加をもたらす。同社は実際にやりとりされるメッセージのデータ量を見て新しい暗号鍵の作成頻度を決めるという。
Appleは「iOS 17.4」(iPhone)「iPadOS 17.4」(iPad)「macOS Sonoma 14.4」(mac)「watchOS 10.4」(Apple Watch)からPQ3の機能を有効にすると発表している。2024年中に、全ての対象デバイスでPQ3が使えるようになるという。
オープンソースソフトウェア(OSS)セキュリティ団体OpenSSF(Open Source Security Foundation)のゼネラルマネジャー、オムカール・アラサラトナム氏は、「PQ3は量子コンピューティングを悪用した攻撃対策に向けた大きな前進だ」と説明する。暗号鍵を狙い暗号化されたデータの解読に対して強固な防御を提供すると同氏はみている。
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