福利厚生の管理業務にAI技術を活用すると、人事部門だけではなく従業員もメリットを得られる可能性がある。ただし、AIの活用には3つのリスクがあると専門家は指摘する。
健康保険をはじめとした福利厚生の管理業務に人工知能(AI)技術を活用すると、人事担当者の負担を減らせるだけではなく、従業員の満足度も向上する見込みがある。一方、専門家は福利厚生におけるAI活用にはリスクもあると指摘する。福利厚生の管理にAI技術を活用することで得られる4つのメリットと、3つのリスクを紹介する。
福利厚生に関する従業員からの質問に応答するAIチャットbotを導入すると、人事担当者の業務負担を軽減できる可能性がある。人事コンサルティング会社CleHRStrat ConsultingのHR技術コンサルタントであるエリック・サンジャン氏は、「従業員がAIチャットbotを使うようになれば、人事担当者が質問に答える労力を省ける」と指摘する。
各従業員の保険料や福利厚生の利用状況といった要素をAI技術で分析し、各従業員の条件に沿った福利厚生プランを提案することも可能だ。法律事務所Gunderson Dettmerのパートナー、ナタリー・ピアース氏は、福利厚生をパーソナライズできるようになれば、人事担当者の業務負担が減り、従業員が保険料などを節約できる可能性もあると述べる。
AI技術を使った福利厚生の人気度の予測も有用だ。従業員が頻繁に利用した福利厚生のサービスや、ほとんど利用しなかったサービスを明らかにすれば、企業は人気がないサービスを縮小する判断ができるとピアース氏は指摘する。
AI技術の活用が、従業員エクスペリエンスの向上につながる可能性がある。福利厚生の制度やサービスの情報は膨大で、求める情報にたどり着きにくくなりがちだ。若手世代の従業員の中には、どのサービスを使えばいいのかを判断するためにAI技術を活用したい人もいるとピアース氏は述べる。同氏は「なぜ、福利厚生でAIチャットbotを使えないのかと従業員が疑問に思う時代になった」と説明する。
一方、専門家らは、福利厚生の管理にAI技術を使うリスクを指摘する。
福利厚生の管理にAI技術を活用するリスクの一つは、サイバー攻撃で従業員のデータが漏えいする可能性があることだ。AI技術を使った福利厚生の管理システムを導入する際は、従業員のプライバシーを考慮し、システムが収集したり処理したりできるデータは最小限に抑える必要がある。
人事担当者や経営層の中には、AIベンダーはセキュリティの問題に適切に対処していると安易に信じる人がいるともピアース氏は指摘する。人事担当者や経営層は、AIベンダーが実施しているプライバシーとセキュリティの対策について確認する必要がある。AIベンダーはそうした質問に対して対策の根拠を明らかにすべきだと同氏は提言する。
AIツールの導入を検討する際は、導入済みの他のシステムとAIツールが連携できない可能性を考慮に入れる。導入済みのシステムが、将来的にAI機能を追加する可能性をAIベンダーに確認することも一つの手だと、調査会社Gartnerのリサーチ・バイスプレジデント、ロン・ハンスコム氏は述べる。
特定の質問に対しては、AIではなく人間の人事担当者が回答する必要がある。例えば、従業員の家族が亡くなったり、緊急事態に対処するための休暇を取得したりしたい場合、従業員はAIチャットbotではなく人事担当者との相談を望む可能性があるとピアース氏は述べる。
AIが従業員に正しい情報を回答しているかどうかを、人事担当者が確認する必要もある。「AI機能を導入する場合、少なくとも最初は十分なテストが必要だ」とサンジャン氏は述べる。その後もAIが誤った回答をしていないかどうか、定期的に確認するよう同氏は推奨する。
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