AI技術の利用が広がる中、需要が高まっているのがAI系の職種だ。応募要件や求められるスキルは、一般的なエンジニア職とどのように異なるのか。
製造、金融、医療、教育などの幅広い産業で、AI(人工知能)技術の導入が加速している。この状況はビジネスの生産性向上をもたらすだけでなく、AI技術に関連する新たな雇用を生み出している点でも注目されている。AI系のキャリアにおいて求められる条件は、一般的なエンジニア職とどのように異なるのか。AI分野の求人データを基に、採用時に重視される条件やスキルについて解説する。
独学でスキルを身に付けるプログラマーは少なくない。オンラインで利用できる学習教材や学習機会が豊富にあり、初心者でも「C++」「Java」「Python」などのプログラミング言語を比較的簡単に学ぶことができる。一方で、AI分野では高度な専門知識とスキルが求められるため、独学での習得は難しい傾向にある。
ナショナル大学(National University)は2024年5月、求人サイトIndeed.comに掲載された求人約1万5000件を調査した。その結果、AI関連の求人の約3分の2が応募要件に修士号を求めていることが明らかになった。ほとんどの求人で学士号以上を必須としており、高卒者が応募可能な求人はわずかだった。
求人の経験要件については、中堅レベルのポジションが全体の約半数を占め、次いで上級レベル、初級レベルの順だった。未経験者を対象とした求人は存在しなかった。
IT系職種はテレワークを取り入れる傾向にあるが、AI関連職種ではテレワークの求人が比較的少ない傾向にあった。フルリモート(テレワークのみの働き方)を認める求人は全体のわずか11%で、対面勤務とリモートワークを組み合わせたハイブリッド勤務の求人も同程度にとどまった。
AI系のキャリアで成功するためには、PythonやJavaなどの主要なAI開発言語の習得はもちろん、「Julia」「Scala」といった特定の用途に強みを持つ言語に精通することも必要だ。ただしそれらのスキルがあるだけでは仕事を得るのは難しい。プログラミングスキルはAI開発に必要なスキルの一つに過ぎない。求人サイトを運営するZipRecruiterによれば、他にも以下のようなスキルが求められる。
次回は、AI系キャリアを検討する際に、狙い目となる業界を解説する。
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