2024年、「生成AIは人間の仕事を奪う」という見方があった。その予測は当たったのか、それとも外れたのか。専門家の意見を基に整理する。
2024年、テキストや画像を生成するAI(人工知能)技術「生成AI」への投資は急務だという見方があった。一方、「AIは人の仕事を奪う」という不安の声も聞かれた。生成AIを活用する企業の投資収益率(ROI)は高まったのか。人の仕事はAIに奪われてしまったのか。前編に続き、2024年の予測とその結果を紹介する。
AIが普及すれば、従業員の業務がなくなるという不安の声が聞かれた。特に、アーティストやジャーナリスト、デザイナーの仕事は一掃されるという見方もあった。
AIは業務の一部を変えたのは確かだ。しかし、企業が従業員数を減らすほどの影響を及ぼしてはいない。
例えば、開発者がコーディングをする際、AIアシスタントは欠かせない存在になりつつある。しかし従業員の業務を奪うほどの存在にはなっていない。ソフトウェアベンダーResponsiveのAJ・サンダー氏(最高製品責任者兼最高情報責任者)は「生成AIは、あくまで従業員に使われているだけで、業務や役職に影響を与えているわけではない」と述べる。
一方、調査会社Gartnerの主任リサーチアナリスト、ダリル・プラマー氏は「AIが、労働者が不足している業界で従業員の業務を肩代わりしている場合もある」と指摘する。例えば、物流、コンテンツ制作、カスタマーサービス、法律、製造などの分野の業務だ。
「AIが肩代わりする業務は増加するという見方は確かに存在する」とプラマー氏は述べる。「AIを使って業務を効率的に遂行する方法を知っている従業員が、他の従業員よりも価値を持つようになる」(同氏)
2024年、企業は生成AIの価値を見いだし、投資収益率は高まるという期待の声があった。
「一部の企業は生成AIを使ったアイデアの創出から概念実証(POC)へ移行したものの、大部分の企業はまだ価値を得られていない」とサンダー氏は指摘する。
「企業の中でAI技術への信頼は高まり、生成AIの業務利用に前向きになっている。だが、生成AIの回答や提案をエンドユーザーが確認し、必要に応じて修正しなければならない状態は続いている」とサンダー氏は説明する。「生成AIの活用によってROIは高まるはずだという期待は報われていない」(同氏)
大規模言語モデル(LLM)を活用すれば、マーケティング部門が生産性を向上させたり、開発者がより速くコーディングできたりするという見方がある。しかし「生成AIが業務プロセスを真に変革するには至っていない」と、RPAベンダーUiPathのシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるマーク・ジーネ氏は指摘する。
ジーネ氏は「企業は新しいAI技術を早く取り入れるはずだという期待があった」と言う。しかし実際には、AI技術の導入に時間がかかる上、回答の精度は完璧ではない。生成AIを使っても期待通りの成果を得られていないと同氏は指摘する。
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