米国のトランプ大統領は就任前、科学技術政策を調整する組織「OSTP」の人事計画を発表していた。OSTPの人事は、米国のAI規制に影響を及ぼす可能性がある。どのような人物が要職に指名されたのか。
第47代米国大統領ドナルド・トランプ氏は、就任前の2024年12月、ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP:Office of Science and Technology Policy)の人事計画を発表した。
「OSTPは連邦機関全体の技術政策を調整する役割を担っている。同組織の人事は、米国のAI規制に影響を与える可能性がある」。ハーバード大学ケネディスクール(Harvard University Kennedy School)ベルファー科学国際問題センター(Belfer Center for Science and International Affairs)のフェローで、非営利組織Americans for Responsible Innovationの政府関係担当上級副代表を務めるダグ・カリダス氏はこう話す。
トランプ氏が指名したOSTPの新メンバーは以下だ。
カリダス氏によると、クラツィオス氏に対するトランプ氏の信頼は厚い。クラツィオス氏はトランプ前政権で側近を4年間務め、技術政策の重要な立案者の一人だった。
PCASTは、トランプ氏が2025年1月23日に設立を発表した組織だ。トランプ氏の下でAIおよび仮想通貨(暗号資産)担当特使を務めるデビッド・サックス氏(決済サービス「PayPal」の元最高執行責任者)が議長を務める。
「クリシュナン氏はサックス氏と緊密に協力しながら、AIに関する米国の技術的な優位性を維持できるよう、政府全体でAI関連の政策立案と調整に取り組む」と、トランプ氏は期待を寄せている。
カリダス氏によれば、これらの人事計画は、トランプ政権においてOSTPが一定の権限と影響力を持つことを示唆している。
シンクタンクBrookings Institutionの上級研究員ダレル・ウエスト氏は、新メンバーを「IT分野での経験が豊富な有力者」と評する。
OSTPは、米国の技術政策の立案において、重要な役割を果たしている。ウエスト氏によれば、OSTPの人事計画は、特にトランプ政権がAI技術を活用して行政を効率化するために重要になるという。
「トランプ氏が率いる共和党はAIの規制を緩和し、公共部門でAI技術を活用して行政を効率化させる計画だ」とウエスト氏は述べる。
OpenAIの生成AIツール「ChatGPT」が2022年に登場する以前から、トランプ氏はAIを重点分野に位置付けていたとカリダス氏は指摘する。2019年にはクラツィオス氏が主導し、AI技術の研究や導入を促す大統領令を発出している。
「トランプ新政権は、AI技術の開発を後押しする資金提供や政策立案を実施する可能性がある」とカリダス氏は説明する。AI規制を強化するとしても、民間分野は対象とせず国家安全保障に関連する分野に限定する可能性が高いと同氏は指摘する。
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