ドナルド・トランプ次期大統領はAI業界に対する規制を緩和する可能性が高いと、有識者は予測する。一方、バイデン氏の政策を全て軽視するわけではないとの見方もある。
米国のドナルド・トランプ次期大統領は、急成長する人工知能(AI)分野をどのように扱うのか──。米TechTarget Editorialのシニアニュースライター、マケンジー・ホランド氏は「AI業界に対する規制が緩和される可能性が高い」という見方を示す。一方、第46代米国大統領ジョー・バイデン氏の政策が全て軽視されることはなく、一部は引き継がれるとみられる。何を引き継ぐのか。
トランプ氏はビジネスに関する規制は費用が掛かると考えていると、ホランド氏は指摘する。元大統領でビジネスマンとしての経歴も持ち合わせるトランプ氏は、独立系AIベンダーや生成AI(テキストや画像を自動生成する人工知能)技術を開発する巨大IT企業を考慮するとみられる。
ジョー・バイデン大統領は2023年10月、AI技術に関する大統領令を発令。国民のプライバシーの保護、AI技術を教育現場で活用する教育者の支援、公平性と市民権の推進、労働者の保護など8つの項目で構成されている。トランプ氏がこの計画のうち、どの項目を廃止、継続するかは不明だ。同氏は2021年、国家人工知能イニシアチブ室を設立している。
調査会社Futurum Groupのチーフテクノロジーアドバイザー、デービッド・ニコルソン氏は、トランプ氏が超党派の支持を受け、大統領令の一部の項目を維持する可能性があると指摘する。一方、ホランド氏は、大統領令に含まれる規制案の多くが存続するとは思えないとの見方を示す。トランプ氏は、大統領令で取り上げられたAIの安全性に関する懸念や規制案を軽視する可能性が高いという。
ニコルソン氏によると、トランプ氏はバイデン氏の政策を覆すか、軽視するとみられるが、バイデン氏の任期中、2022年に成立したCHIPS法(米国内の半導体産業への大規模な補助金政策)は存続する可能性が高い。同法が、米国での製造業と技術開発の復活を後押しするためだ。
他方、米連邦取引委員会(FTC)と米司法省(DOJ)によるAI規制や大手IT企業規制の姿勢は、トランプ氏によって撤回されるとみられる。「FTCはリナ・カーン委員長の職が危ぶまれるほどの改革に直面する可能性がある」とホランド氏は指摘する。これまでカーン氏は、複数の大手IT企業を積極的に追及してきた。
「トランプ氏の政策は規制緩和と規制反対が中心だ。この動きは、独自にルールを制定できる行政機関に影響を与え得る」ともホランド氏は述べる。AIに対する意味のある連邦規制が存在しない中、米国では州ごとに規制が生まれつつある。
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
AIは生産性や顧客満足度の向上などさまざまな効果をもたらすが、その導入時に、AIモデルの管理/監視、従業員のスキルギャップ、データの一貫性などの課題に悩まされる企業は多い。これらを解消するために必要な、AI戦略の進め方とは?
企業にとって生成AIは、生産性向上や収益性増加をもたらす重要な技術だが、導入には多くの課題が存在する。PoC(概念実証)段階で約30%の企業が導入を断念するといわれる生成AIプロジェクトを成功に導くための方法を紹介する。
生成AIによって既存業務の生産性向上といった成果を上げる企業が増えている今、AIをより効果的に活用するための鍵になるといわれているのが、AI処理に特化した「Copilot+ PC」だ。AI PCが具体的にどのような変化をもたらすのかを解説する。
企業のDX支援などを手掛けるSpeeeでは、各チームの業務に最適化されたAIエージェントを、現場レベルで自律的に開発/活用するための環境を提供している。このようにAIとデータの活用を民主化した理由とシステム構成を解説する。
ビジネスにおけるAIへの依存度が高まる一方、AIのアウトプット品質に関する懸念が広まっており、導入をためらう組織も増えている。本資料では、AIシステムの精度を高め、アウトプットの品質を担保するための具体的な方法を解説する。
ドキュメントから「価値」を引き出す、Acrobat AIアシスタント活用術 (2025/3/28)
広がるIBM i の可能性 生成AIによる基幹システム活用の新たな技術的アプローチ (2025/3/28)
「NVIDIAのGPUは高過ぎる……」と諦める必要はない? GPU調達はこう変わる (2025/3/11)
PoCで終わらせない企業の生成AI活用 有識者が語る、失敗を避けるためのノウハウ (2024/10/18)
生成AIのビジネス利用 すぐに、安全に使うためには? (2024/8/26)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...