トランプ政権が米国のAI規制をどのように進めるのかに注目が集まっている。実業家としての経歴に基づき規制を緩和するのか、逆に規制を強めるのか。有識者の分析を紹介する。
2024年11月の米国大統領選で当選者となったドナルド・トランプ氏は、第46代米国大統領ジョー・バイデン氏が2023年10月に発令した人工知能(AI)技術に関する大統領令を撤廃する可能性がある。トランプ政権は米国のAI規制をどう変える見込みなのか。
「バイデン氏の大統領令がAI技術のイノベーションを阻害している」というのがトランプ氏の主張だ。バイデン氏の大統領令は、以下をはじめとする措置の実施を定めている。
調査会社Gartnerのディスティングイッシュトバイスプレジデントアナリストであるアビバ・リタン氏は、トランプ氏がAI技術に関して具体的にどのような政策を打ち出すかは不透明だと指摘する。一方で「イーロン・マスク氏のような、トランプ氏と近い関係にある技術系実業家が技術政策の方向性に影響を及ぼす可能性がある」ともリタン氏は述べる。トランプ氏自身は、企業や市場に対する政府の規制や介入を控える方針だ。経済政策においても、規制緩和を目指すことを明言している。AI技術に関しても、「共和党は言論の自由と人間の幸福に根ざしたAI技術の開発を支持する」と語る。
「トランプ氏の動きは完全に予測不可能だ」。リタン氏はこう付け加える。
法律事務所Dykema GossettでAIおよびイノベーション部門の共同責任者を務めるマーク・マルベン氏によると、バイデン政権がAI技術の安全性やリスク管理を重視する一方で、トランプ政権はAI技術の革新を優先すると予測する。つまり、AI技術に関する政策は転換する可能性が高いという。「トランプ政権は、これまでよりも規制を緩めるはずだ」(マルベン氏)
「マスク氏とトランプ氏の関係が続くことで、AI技術の安全な利用に関する議論が排除されるわけではない」というのがマルベン氏の見解だ。マスク氏は、2024年9月にカリフォルニア州議会が賛成多数で可決した、AIモデルに安全性テストを義務付ける州法案「SB 1047」に賛同している。
各州で独自のAI規制法が乱立する中、トランプ政権もAI技術の規制を検討せざるを得なくなるとマルベン氏は考える。ただし、トランプ政権がAI技術に関する懸念にどう対処するのかは依然として不透明だ。「州法よりも優先される連邦法として、企業に有利となる緩やかな規制を制定することもあり得る」とマルベン氏は述べる。
マルベン氏は、トランプ氏がAI技術に関する大統領令に署名する可能性を指摘する。トランプ氏は前政権で、「Maintaining American Leadership in Artificial Intelligence」(米国のAIリーダーシップの維持)と題した大統領令を発令した。その目的の一つは、連邦政府がAI技術を利用する際の障壁を減らすことだった。
シンクタンクBrookings Institutionの上級研究員ダレル・ウエスト氏 は、トランプ政権下ではAIモデルのアルゴリズムに対する公的な監視が弱まるとみる。実業家としてのバックグラウンドを持つトランプ氏は、ビジネスに対する政府規制を緩和する方向に進むと考えられるためだ。
「連邦議会がAI規制法案を可決する見込みは薄い」ともウエスト氏は話す。政党の対立が続く現状では、AI規制法案の成立は困難だ。
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