米トランプ政権は人工知能向けの半導体などの輸出を規制する法規制を撤廃する意向を示した。これによって、同政権は2つの課題に対処する必要性が出てきた。
米国のドナルド・トランプ大統領は、ジョー・バイデン前政権が2025年5月15日に施行予定だった、人工知能(AI)技術や製品の輸出規制「AI Diffusion Rule」を撤廃する意向を示した。撤廃する場合、同政権は新たな2つの課題に取り組む必要がある。課題とは何か。
米国上院商務・科学・運輸委員会が2025年5月8日に開催した公聴会で、共和党所属の上院議員テッド・クルーズ氏は、トランプ氏がAI Diffusion Ruleを撤廃する方針であることを示唆した。AI Diffusion Ruleに対しては、特にAIベンダーから、世界市場で米国企業のAI製品が売れなくなるのではないかといった懸念が寄せられていた。「バイデン政権のAI規制は見当違いであり、米国のIT企業が世界にAIを提供する能力をまひさせるだけでなく、AI市場を中国に明け渡すようなものだ」。クルーズ氏はAI Diffusion Ruleをこう批判した。
米国に本社を置く世界的な半導体ベンダーAdvanced Micro Devices(AMD)の最高経営責任者(CEO)であるリサ・スー氏は、トランプ政権はAI Diffusion Ruleを撤回するとともに、米国の輸出管理全体を見直す必要があると指摘した。
スー氏は、半導体産業は国家の安全保障を構成する重要な要素であると強調した。一方で、米国の技術が世界中で広く採用されることも大切だという考えも示した。続けて同氏は、「米国が世界をリードしているのは、最高の技術を持っているからだ。しかし、その技術を広く普及させることができなければ、他の技術に取って代わられる恐れがある」と警鐘を鳴らした。
GPUをサービスとして使う「GPUaaS」(GPU as a Service)を提供するCoreWeaveのCEOであるマイケル・イントレイター氏は、適切な輸出管理と貿易協定の調整によって、国家の安全保障を確保しながら、世界規模でAI技術を普及できる」と主張した。
Microsoftのプレジデントであるブラッド・スミス氏はイントレイター氏の発言に同調し、米国がAI競争をリードする立場を保つには、許認可制度の改革を通じたAIインフラへの投資、AI分野で高度なスキルを持つエンジニアの育成、米国企業の輸出能力、米国と世界各国との接点を強化する必要があると述べた。「米国のグローバルリーダーシップは、適切な輸出管理のルールを整え、それに基づいて世界に貢献する力と、特に技術分野において世界からの信頼を維持する能力にかかっている」と同氏は言い添えた。
AIベンダーOpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は、米国がAI分野で優位を保つためには、電力、半導体チップ、AIトレーニング施設、データセンターなどのAIに関するサプライチェーンへの投資が必要だと指摘した。
イントレイター氏は、AIモデルの運用を支える新たなデータセンターを実現するために、米国政府はエネルギーインフラへの投資をさらに拡大すべきだと述べた。建設プロジェクトを迅速に進めるために、許認可制度の改革を加速させる必要があるとも同氏は指摘した。
民主党所属で上院商務・科学・運輸委員長のマリア・キャントウェル氏は、「米国がAI競争に勝つためには、電力へのアクセス、データセンター、インフラ需要に対処可能なエンジニア確保が欠かせない」と述べ、米国国立科学財団(NSF:National Science Foundation)をはじめとした連邦機関への継続的な投資の重要性を訴えた。
クルーズ氏は、AIの導入を阻む規制の撤廃、州ごとに乱立する規制の抑制、米国内におけるAIサプライチェーンの迅速な成長を可能にするため、「AI規制サンドボックス」を創設する新法案を提出する意向を示した。これは既存の規制を一時的に緩和し、革新的なAI技術の実証実験を可能にする制度だ。
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