AI技術を活用してイノベーションを生み出そうとしているのにうまくいかない原因は、データの分断や管理の複雑さにある。クラウドサービスやオンプレミスシステムに点在するデータを一元化できる基盤の構築法とは。
人工知能(AI)技術のビジネス利用が広がる中で浮上しているのが、さまざまな情報源から分析対象となるデータをいかに効率よく収集して活用するのかという課題だ。ITベンダーはデータ統合のニーズを見据え、新しい技術や製品を次々に投入している。AI技術からビジネス価値を引き出すために、組織はどのようなデータ戦略を推し進めるべきなのか。
米Informa TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)によると、AIシステムで分析するデータを「信頼している」組織は限られている。データを信頼できない理由として、データの断片化やサイロ化(連携せずに孤立した状態になること)が生じていること、データに関する適切なガバナンスが確立されていないことが挙げられた。AIシステムのインフラ構築が十分に整っていない組織もあるとESGは説明する。
大半の組織は、分析対象となるデータを、オンプレミスシステムやクラウドサービスなどの複数のシステムにまたがって保存しており、一元的な管理が困難な状態だ。一部のデータのみを分析対象にすると、AIモデルが不正確な回答を生成する恐れがあり、ビジネスに悪影響を与えかねない。組織が保有する全てのデータをシームレスに組み合わせて分析できるようにするためには、ハイブリッドなデータ戦略が成功の鍵を握る。
組織がデータ統合に取り組めば、人事やマーケティング、財務、物流など、部門横断的にさまざまな洞察を得てビジネス改善に生かせる。そう考えると、ハイブリッドなデータ戦略は技術部門だけではなく、経営陣も関わるべき重要なビジネス課題だ。データ統合はシステム運用の効率化につながるので、コスト削減を図ることも可能になる。
ハイブリッドなデータ戦略を実現するための製品開発に注力しているベンダーの一つが、Clouderaだ。同社は複数のシステムからデータを集めて一元的に管理し、ガバナンスを統一するためのツール群「Cloudera AI」を提供している。Cloudera AIはAIアプリケーションを開発やテストするための機能も備える。
Oracleも、AI技術を利用しやすくするためにデータ統合機能を搭載するデータベース「Oracle Database 23ai」を投入している。OracleはGoogleやMicrosoftとのパートナーシップによって、Oracle Database 23aiをクラウドサービス群「Google Cloud」や「Microsoft Azure」と連携して使えるようにしている。複数のシステムに点在するデータをまとめて管理できることに加え、AI技術利用時のセキュリティも一元管理できるという。
組織にとって、コスト、セキュリティ、ガバナンスのバランスを取りながら、AI分析用のデータを迅速かつ安全に取得できる体制を構築することは重要だ。そのためには、ハイブリッドなデータ管理戦略への移行が欠かせない。上記で取り上げたClouderaやOracleの製品を採用することで、組織はデータに対する信頼を高め、幅広い活用が可能になる。強固なデータ基盤の構築は、AI技術利用によってイノベーションを生み出すための出発点だと言える。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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