最近、AIエージェントとチャットbotの採用が広がっている。この2つは混合しがちだが、同じではない。4つの観点からAIエージェントとチャットbotの違いを説明する。
AIエージェントとチャットbotはともに業務を自動化するためのツールだ。しかしユーザーとのやり取り方法や得意とするユースケースに関して違いも多く、どちらを採用すべきかは「何に使いたいか」によって異なる。本稿はAIエージェントとチャットbotの主な違いを整理してみた。
AIエージェントは、大規模言語モデル(LMM)を中心としたAIを用いてタスクを自律的に実行するツールだ。一方でチャットbotは、会話形式で人間のユーザーとやり取りするツールになる。そのために、大半のチャットbotもAIを利用している。企業はAIエージェントかチャットbotを導入するかを決めるとき、具体的なユースケースを想定することが重要だ。用途によっては、両方を導入することが最適なケースもある。
以下で「能力」「構成要素」「リスクと課題」「統合」に沿って、AIエージェントとチャットbotの違いを見てみよう。
チャットbotは自然言語入力を理解し、ユーザーの質問に答えることが主な能力だ。従業員が企業データベース内で情報を見つけるのを手伝ったり、顧客に対し問題を解決するための情報を提案したりする。
一方、AIエージェントはより高度で広範な能力を持つので、さまざまなビジネスプロセスを自動化できる。もちろん、全てのAIエージェントが「何でもできる」というわけではない。AIエージェントは通常、ビジネス会計の管理やソフトウェアのインストール自動化など、特定のタスクを実行するために設計されている。
大半のチャットbotは、ユーザーからの質問を理解するためのLLMや他のAIモデルと、ユーザーとやり取りするためのインターフェースの2つが基本的な構成要素だ。AIエージェントはより複雑な構成になっている。LLMとユーザーインターフェースに加え、タスク実行のためのソフトウェアを統合するための機能も持つ。
AIエージェントはチャットbotより広範な機能を備えるため、攻撃をはじめとしたリスクもチャットbotより大きい。チャットbotは主に、AIが不正確な情報を真実であるかのように生成する幻覚(ハルシネーション)や、バイアス(偏った情報の生成)がリスクとして考えられる。チャットbotは、無許可のユーザーに機密情報を共有する恐れもある。
AIエージェントは幻覚やバイアスに加え、攻撃者から不正な指示を受けるリスクも挙げられる。不正指示によって、機密データの暴露や情報の破壊、サービス妨害といったことにつながりかねない。
AIエージェントとチャットbotは両方とも、外部のツールやサービスを統合できる。AIエージェントはさまざまな情報を分析するので、特に統合機能が重要だ。AIエージェントを外部のデータソースに接続するオープンソースのプロトコルとして、2024年11月にAIベンダーAnthropicが発表した「Model Context Protocol」(MCP)がある。チャットbotは基本、会話能力があれば十分なため、外部リソースを統合する必要がない。
AIエージェントとチャットbotには共通点もある。主なものを以下に挙げる。
後編は、AIエージェントとチャットbotの機能を取り上げる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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