AI技術の進化における課題は、大規模なAIインフラを構築する上で、システム間のデータ転送が限界を迎えつつあることだ。この課題に対し、Huawei Technologiesは独自のアーキテクチャや接続技術を発表した。
大手ITベンダーのHuawei Technologies(以下、Huawei)は、2025年9月に開催したイベント「HUAWEI CONNECT 2025」で、AI(人工知能)技術を普及させ続けるには、コンピューティング性能が鍵を握ることを強調した。併せて、大規模なAIシステムにおけるデータ転送の滞留(ボトルネック)を解決するために、複数のコンピュータ製品群と、それらをつなぐ相互接続技術を発表した。
Huaweiの副会長兼輪番会長であるエリック・シュー氏は、基調講演において同社の目標と、それに付随するアーキテクチャを説明した。それは、複数のコンピュータを連携させて1つの巨大な仮想マシンとして動作させる「SuperPoD」と、それをさらに束ねた「SuperCluster」を構築し、計算需要の高まりに応えることだ。
基調講演でシュー氏は、SuperPoDを採用した2つの新製品を紹介した。1つ目は8192基のニューラルプロセッシングユニット(NPU)を搭載した「Atlas 950 SuperPoD」。2つ目は1万5488基のNPUを搭載した「Atlas 960 SuperPoD」だ。NPUとは、AIモデル関連の処理に特化した半導体のことだ。これらの製品は、NPUとして「Ascend」を採用している。
Huaweiは、これらの2製品がNPUの数、コンピューティング性能、メモリ容量、相互接続の通信速度といった複数の指標で「業界最高水準の性能を発揮する」と主張する。
この他にシュー氏は、複数のSuperPoDを組み合わせた大規模システムとして、50万基以上のNPUを搭載する「Atlas 950 SuperCluster」、100万基以上のNPUを搭載する「Atlas 960 SuperCluster」も発表した。これらも市場の他製品をしのぐ性能を目指しているという。
続いてシュー氏は、Huaweiが「世界初の汎用(はんよう)コンピューティングSuperPoD」と位置付ける「TaiShan 950 SuperPoD」も紹介した。この製品は、Huaweiの分散データベース「GaussDB」と組み合わせることで、基幹システムの運用に活用できるという。具体的には、メインフレームや、Oracleのデータベース管理システム(DBMS)「Oracle Exadata Database Service」専用サーバに代わる選択肢になるよう設計されている。
ただし、どれほど強力なコンピューティングシステムでも、複数の半導体やコンピュータを一定の距離にわたって接続する際には、現状の接続技術に伴う物理的な限界に直面する。この壁は大規模なAIインフラにおいて、インフラ全体の性能を頭打ちにさせる大きな要因になり得る。
この課題を解決するために、シュー氏はSuperPoD向けに新たに開発した相互接続の通信規格「UnifiedBus」を発表した。「UnifiedBusを搭載したSuperPoDとSuperClusterは、計算需要に対する当社の答えだ。われわれの目標は、AI技術の発展を支援し、より大きな価値を創造し続けることだ」とシュー氏は語った。
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