Googleが「Gemini 3 Flash」公開 従来の「Gemini」との違いとはAIモデルはどう使い分ける?

GoogleはAIモデルファミリー「Gemini 3」の新たなAIモデルとして、「Gemini 3 Flash」を公開した。同モデルは「Gemini 3 Pro」と何が違うのか。具体的な性能や、コストを抑えて使う方法を説明する。

2025年12月19日 22時30分 公開
[TechTargetジャパン]

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 Googleは2025年12月17日(米国時間、以下同じ)に、AIモデルの「Gemini 3 Flash」を公開した。同社のAI(人工知能)モデルシリーズ「Gemini 3」の新バージョンに当たる。同社はGemini 3 Flashを「最先端の知能を、高い処理速度と手ごろなコストで提供するために構築されたAIモデル」と位置付けている。Googleは発表同日から、Gemini 3 Flashの提供を世界中で段階的に進めている。

Gemini 3 Flashと「Gemini 3 Pro」「Gemini 2.5 Pro」との違いは

 Gemini 3 Flashは、Googleが2025年11月に発表した最新モデル「Gemini 3 Pro」が持つ推論能力やマルチモーダル機能(テキストや音声、画像といった複数のデータ形式を組み合わせて処理する仕組み)、コーディング能力、AIエージェント機能を受け継ぎながら、Gemini 3 Proの約4分の1以下の利用料金で提供し、より高いレート制限(一定時間内にAIモデルに対して送信できるリクエストの回数や、処理できるデータ量の制限)を実現している。

 Gemini 3 Flashは2025年12月時点で、主に以下のサービスを通して利用可能だ。

  • 開発者向けサービス:AI開発サービス「Google AI Studio」の「Gemini API」、オープンソースのAIエージェント開発ツール「Gemini CLI」、AIエージェント開発サービス「Google Antigravity」など
  • 法人向け:AIモデル開発ツール「Vertex AI」、企業向けAIエージェント「Gemini Enterprise」
  • 一般ユーザー向け:AIアシスタント「Gemini」、「Google検索」のAIモード

 Googleは公式ブログで、「Gemini 3 Flashは、データの処理スピードやデータの規模と知性で、どちらかを犠牲にする必要はないことを示している」と述べている。Gemini 3 Flashは、博士号レベルの推論や知識に関するベンチマークの「GPQA Diamond」で90.4%のスコアを出しており、Gemini 3 Proの91.9%に並ぶ性能を実現している。マルチモーダル推論能力を測定するベンチマーク「MMMU Pro」では、81.2%というスコアを記録する。

 Gemini FlashはGemini Proに対して、データの処理速度やコストパフォーマンスを高めた軽量モデルに当たる。Googleは日常的なやりとりやアプリケーション開発にはFlashを、高度なデータ分析や学術的な思考にはProを使い分けることを推奨している。Gemini 3 Flashは思考処理を実行する際に、思考の深さを調整することが可能だ。複雑な処理が求められる用途では、時間をかけて推論を実行できる。Googleのブログによると、日常的なタスクの処理では2025年3月発表の「Gemini 2.5 Pro」よりも平均30%少ないトークン消費量で、より速度と正確性が高い出力を実現しているという。

非同期処理でさらにコストを抑えることが可能に

 Gemini APIまたはVertex AIで利用する場合のGemini 3 Flashの料金は、テキストまたは画像、動画の入力100万トークン当たり0.5ドル(音声は1.0ドル)、出力100万トークン当たり3.0ドルだ。

 Gemini 3 Flashでは、コンテキストキャッシング(よく使うデータを、AIモデルのサーバ側に一時保存しておく機能)が標準機能として提供される。特定の閾値を超えてトークンを繰り返し使用する場合、最大90%のコスト削減が可能となる。「Batch API」を使って非同期処理を実行する場合、通常よりも50%割引された利用料金と緩和されたレート制限で同モデルが利用できる。

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