仮想デスクトップの導入と運用に掛かるコストを抑える
DaaSの利用料金を節約するための7つのポイント
DaaSにはOSや端末の導入コストを抑えられるというメリットがあるが、導入方法によっては物理PCよりも高くつく可能性がある。DaaSの適切な料金プランを契約して、管理コストを抑えるためのポイントを説明する。
DaaS(Desktop as a Service)には物理PCの管理や調達に掛かるコストを削減できるというメリットがある。しかし適切な計画を立てずに導入を進めると、コストが管理しきれなくなり、際限なく上昇する可能性がある。実際、クラウドインフラで仮想デスクトップを利用するコストが、物理PCでローカルのデスクトップを使用する場合のコストを上回るケースもある。
DaaSの投資対効果(ROI)を高めるには、IT部門が現在と将来のデスクトップ要件を評価し、さまざまなライセンス形態を想定しながら利用料金を見積もり、自社に合ったDaaSベンダーを選定することが重要だ。本稿はDaaSのコストを抑制するためのサービスの選び方と運用管理のためのベストプラクティスを7つ説明する。
1.DaaSの利用用途を把握する
導入の検討を始める前に、組織は必要な仮想デスクトップの数や、その利用方法を明確にしておく必要がある。多くのDaaSベンダーは、それぞれ異なるハードウェア構成の仮想マシン(VM)で実行される、複数の仮想デスクトップを提供している。処理性能が低い仮想デスクトップはコストを抑えやすい一方で、高い処理能力を必要とする専門的な業務アプリケーションを利用するユーザーのニーズを満たせない可能性が高い。Microsoftの「Microsoft Word」や「Microsoft Outlook」といった比較的軽量な業務アプリケーションを主に使うユーザーであれば、最高性能のハードウェアを備えた仮想デスクトップは不要な傾向にある。
事前に従業員が仮想デスクトップをどのように利用するのかを整理しておくことで、過剰な投資を避けつつ、要件を満たす適切な仮想デスクトップの容量を判断しやすくなる。適切なサイジングは、従業員の生産性を最大化すると同時に、コスト管理にもつながる。この情報があれば、DaaSベンダーから見積もりを取得する際にも役立つ。
2.成長を見据えて計画する
IT管理者は、導入時に組織で使用する仮想デスクトップのサイズを選定する必要があるが、同時に将来的な成長も考慮しておくべきだ。柔軟性のあるDaaS戦略を採用すれば、設備投資(CapEx)を最小限に抑えながら、リソースをリアルタイムで調整できる。
業務アプリケーションはベンダーのアップデートとともに要求するリソースが増える傾向がある。そのため将来的にエンドユーザーがハードウェアに対し、追加のデータ処理能力やメモリを必要とする可能性がある。こうしたニーズに応えるために、一部の組織では将来的な需要の変化を踏まえて、現時点で必要な性能よりもやや大きめの仮想デスクトップを購入するといった方法を取っている。この方法は有効ではあるものの、すぐには使わないハードウェアリソースに対して費用を支払うことになる。
別の方法として、DaaSベンダーにハードウェアの設計方法を相談することが挙げられる。ユーザー組織のニーズの変化に応じて、より高性能な仮想デスクトップにスムーズにアップグレードできる仕組みを用意するDaaSベンダーもある。
組織の成長を見据えた計画を立てる際には、あらかじめ決めた契約期間が終了するまで待つ必要なく、いつでも追加の仮想デスクトップを購入できるかどうかを確認することが重要だ。また新しく購入した仮想デスクトップが、既に利用している仮想デスクトップと同一の料金体系で課金されるかどうかも確認すべきだ。新たな料金体系が適用されるのは避けたい。
3.仮想デスクトップのライセンス方式を理解する
DaaSの契約は、必要な仮想デスクトップの数やサイズを指定するだけで済むとは限らない。ベンダーによっては、エンドユーザー単位でライセンスを提供しており、各ユーザーがそれぞれ専用の仮想デスクトップを持つことを求められる場合がある。
一方でユーザー数ではなく、「同時に1人しかログインできない」という形でアクセスを制限するDaaSも存在する。このモデルは、従業員が複数のシフトで働く組織にとって有効だ。異なるシフトで働くユーザーは同時に仮想デスクトップへアクセスしないため、1シフト当たりに使用する分だけライセンスを契約すればよい。
マルチセッション型のデスクトップをサポートするベンダーもある。この場合、1つの仮想デスクトップに対して、2人以上のユーザーが同時に接続できる。仮想デスクトップをマルチセッションで利用する場合、一般的により処理能力が高いVMが必要になるが、結果として契約する仮想デスクトップのライセンス数を減らせる可能性がある。
4.ライセンスに含まれる内容を把握する
DaaSベンダーごとに、ライセンスの料金体系は異なる。そのためIT担当者はライセンスに何が含まれているのかを正確に理解することが重要だ。料金体系を把握することは、コスト管理やコンプライアンス、監査時の罰則の回避に直結する。
一般的にDaaSベンダーは、利用量に応じて課金される従量課金型の料金体系を採用しており、ユーザーは使用したリソース分のみを支払う。利用料金は購入した仮想デスクトップの数とVMのサイズに基づく。しかしネットワークやストレージ、その他のリソースの使用量に応じて追加料金を請求するプロバイダーも存在する。
料金体系に加えて、ベンダーがDaaSにどのようなサービスを含めているかも確認する必要がある。例えば仮想デスクトップのパッチ管理をサービス内容の一部として提供するベンダーもあれば、そうでない場合もある。
5.ソフトウェアライセンスが総所有コスト(TCO)に与える影響を考慮する
DaaSベンダーは一般的に、特定のOSをあらかじめインストールした状態で仮想デスクトップを提供している。一方でその仮想デスクトップで実行する業務アプリケーションは、ユーザー組織がライセンスを用意する必要がある。
場合によっては、組織が業務アプリケーションを利用するために必要なライセンスの一部をすでに保有していることもある。例えばクラウドオフィススイートの「Microsoft 365」の企業向けライセンスには、Microsoft Wordや「Microsoft Excel」といった各種Officeアプリケーションのライセンスが含まれている。Microsoft 365のライセンスの種類によっては、「Microsoft Intune」のようなエンドポイント管理ツールの利用権が含まれており、IT部門が仮想デスクトップの管理に利用できる可能性がある。
DaaSへ移行した後も、現在利用しているデスクトップ管理ソフトウェアが引き続き有用か、または不要になるかを検討すべきだ。既存の管理ツールでDaaSを管理できる場合もあるが、DaaS自体に管理機能が組み込まれており、サードパーティー製の管理ツールが不要になる可能性もある。DaaSによって不要となったソフトウェアのライセンスを解約すれば、コスト削減につながる。
SaaSのバンドル提供やベンダーが提供する割引も、コスト削減に寄与する。DaaSの中には、SaaSの一部として提供されているサービスもある。例えばMicrosoftのDaaS「Windows 365」の各ライセンスは、Microsoft 365を利用可能にする。同じエコシステム内の他のサービスをすでに利用しているか、導入予定の組織にとっては、こうしたバンドルは費用対効果が高い。一方でバンドルに含まれる機能の全てを必要としない場合は、DaaSを単体で購入した方が適切なこともある。
6.新規ユーザー追加や年次更新に向けてDaaSの価格を固定する
IT担当者は、自社に適用可能な割引がないかを把握しておくべきだ。割引は、ユーザー数やストレージ使用量、契約期間などに応じて適用される場合がある。例えば1年契約ではなくより長期の3年契約を結ぶことで割引が受けられるサービスも存在する。
長期契約を結ぶことは、初期導入コストの削減だけでなく、将来的なコスト抑制にもつながる場合がある。DaaSベンダーは時間の経過とともに料金を引き上げる傾向があるため、契約期間を長くすることで、値上げの影響を受けにくくなる。
7.DaaSベンダーを比較する際には多くの質問を投げかける
DaaSを選定するとき、IT管理者は常に多くの質問をするべきだ。ベンダーと打ち合わせるときは、あらかじめ質問リストを用意しておくのが望ましい。全てのベンダーに対して同じ質問をすることで、各サービスの技術的な特徴や価格モデルを網羅的に把握できる。その結果、正確かつ丁寧な比較が可能となり、最適な条件や価格でDaaSを導入しやすくなる。
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