PC価格の17%上昇、メモリ価格130%の暴騰――。Windows 10の公式サポートが終了した2026年、情シスを「予算ショート」の危機が襲う。PCの延命が招くセキュリティリスクと、コスト高を乗り切るための“現実的な解”とは。
メモリ価格の上昇が、2025年のPC市場に見られた追い風を打ち消そうとしている。「Windows 11」への移行やAI(人工知能)処理に特化したプロセッサを搭載するPC「AI PC」への期待による好調な勢いが、逆風にさらされている状況だ。
メモリの価格上昇は、極めて深刻なものになると見込まれている。調査会社Gartnerの2026年2月26日(米国時間)の発表によれば、2026年末までにDRAMとSSDを合わせた価格は、2025年と比較して130%も急騰する見通しだ。この影響によって、PCの平均販売価格は前年比で17%上昇する可能性がある。
PC市場の混乱は、出荷台数の予測にも表れている。Gartnerは、2026年のPC出荷台数が前年比10.4%減、スマートフォンの販売台数が同8.4%減になると予測する。販売チャネルは価格調整や顧客の不満への対応に加え、購買パターンの変化という大きな課題に直面することになる。
Gartnerの予測では、2026年末までにPCの買い替えサイクルは、前年と比べて企業で15%、個人で20%長期化するという。既存の端末をより長く使い続ける「延命」の判断は、セキュリティ上の懸念を引き起こす。特に、Windows 11への移行を予定していた端末がそのまま使われ続ける場合、そのリスクは無視できない。
Gartnerのシニアディレクターアナリストであるランジット・アトワル氏は、次のように述べる。「これは2016年以降で最も急激な出荷台数の減少だ。価格上昇によって選択肢が狭まり、購入者が端末を長く保持するようになる。これによって、アップグレードのサイクルは根本から変わるだろう」
PCの製造原価に占めるメモリの割合は、2025年の16%から23%に上昇するとみられている。これはベンダーにとって大きな圧力となり、特に価格に敏感なエントリーモデル市場に大きな影響を与える。
ハイエンド市場に向けた高付加価値なAI PCも、原価増の影響を免れない。アトワル氏は、急激な原価上昇によってベンダーが価格を吸収できなくなり、利益率の低いエントリークラスのノートPCは採算が取れなくなると指摘する。
「最終的に、500ドル未満のエントリーモデルというセグメントは2028年までに消滅すると予測している」とアトワル氏は話す。AI PC自体の価格上昇によって、市場普及率が50%に達する時期も2028年まで遅れる見通しだ。
市場動向の変化を受け、ベンダーやパートナー企業は苦渋の決断を迫られる。低価格を求める層を追って利益率を削るか、販売台数の減少による収益性の低下を受け入れるかの選択だ。アトワル氏は、2026年第2四半期(4〜6月)以降のさらなる原価増を見据え、同年6月までに価格戦略を最適化し、利益を保護することが極めて重要になると付け加えた。
こうした価格高騰を背景に、リファービッシュ(整備済)製品の専門家は、AIインフラの構築に必要なSSDとして中古技術の活用を検討するよう顧客に助言している。
リファービッシュ販売企業ETB Technologiesの技術専門家であるピーター・ミラー氏は、「リファービッシュ製品を『最後の手段』と見なす考えはもはや古い」と断言する。現在の企業向けSSDは高品質な稼働条件下から回収され、厳格な基準でデータ消去とテストが実施されている。保証制度も充実しており、信頼性は高いという。
ミラー氏は、予算内で性能を最大化する鍵は、全てのAI処理に市場の最新SSDが必要なわけではないと認識することだと話す。重要なのは最新性よりも、予測可能性や可用性、費用対効果の高い拡張性だと同氏は主張する。
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