中東情勢悪化が招いたインフラ破壊
AWSデータセンターにドローン攻撃の衝撃 情シスはクラウドの安全性をどう説明すべき?
中東のAWSデータセンターがドローン攻撃を受け、多数のサービスが停止した。物理攻撃という「想定外」の事態は、日本の情シスにとっても対岸の火事ではない。
2026年2月末から米国とイスラエルがイランを攻撃し、中東情勢が悪化している中、同地域にあるAmazon Web Services(以下、AWS)のデータセンターがドローン攻撃によって被害を受けた。クラウドサービスのインフラが破壊され得る展開は、日本も含め、ユーザー企業にとって警戒すべきことだ。データセンターが被害を受けても事業継続ができるようにするには、どうすればいいのか。
事業継続を担保する「マルチリージョン」の真価
今回被害を受けたのは、アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンにあるAWSのデータセンター3カ所だとみられる。AWSによると、同社施設がドローン攻撃され、建物の損害や停電、火災の消火活動による水害が発生した。そのため、同社の多数のサービスが停止したという。AWSは中東のデータセンターでのサービスを利用している企業に対し、同社の他のリージョンへの移行を推奨している。
セキュリティベンダーQuorum Cyber Securityシニア脅威インテリジェンスアナリストのジャック・アレクサンダー氏は、「データセンターは政府、金融、医療、通信、物流といった分野にとって極めて重要なインフラだ」と強調する。企業はデータセンターが被害を受けてサービス提供に影響が出た場合に備え、災害復旧(DR)計画を立てる必要があると同氏は述べる。
「AWSデータセンターへの攻撃は、デジタルインフラが最終的には物理インフラに依存していることを示した」と、通信事業を手掛けるSpacecoinの創設者、テー・オウ氏は説明する。同氏によると、企業がデータセンターの被害に備えたDR計画を立てなければ、事業継続ができなくなる恐れがある。DR計画の具体的な施策として、違う地域でバックアップ用のデータセンターを用意する必要があるという。
UAEはAI(人工知能)ハブを目指し、大規模クラウドプロバイダーの誘致に取り組んできた。AWSに加え、GoogleやMicrosoft、OracleもUAEでデータセンターを運営している。各社はデータセンターの物理的セキュリティに注力しているが、他国から攻撃を受けるのは想定外だったとみられる。データセンターは今後も攻撃の標的になる可能性がある。
マーケティング企業Point Mediaの創設者、サイエド・アシフ・アリ氏は、「クラウド時代において企業のレジリエンス(回復力)は『地域』が重要な要素になる」と指摘する。データセンターの物理的セキュリティに加え、「マルチリージョン展開」(複数の地域にまたがったデータセンター利用)によるリスク分散がレジリエンスの鍵を握ると同氏は語る。
ソフトウェアベンダーIFS North America最高技術責任者(CTO)のケビン・ミラー氏は、まず自社のデータがどこにあるかを把握することが重要だと説明する。それを踏まえ、それぞれのデータセンターのリスクを可視化し、保護策を考えることが求められるという。同氏によると、リスク可視化にはAI技術の利用が有効だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[オーティファイ株式会社] AIでコーディングは加速したのにテストはそのまま? いまQAに必要な進化とは -
事例
[オーティファイ株式会社] QAで開発サイクルを遅延させない 8社の事例に学ぶ「テスト工程」の課題解決策 -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「AIっぽい広告」の山に埋もれさせない AIマーケで着実に成果をだす秘訣とは? -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「広告投資」調査レポート2026:勝ち組企業は何に投資しているのか? -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 「問い合わせの渋滞」を解消、情シスの負担を軽減する“次世代型AI”活用方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
9割が頓挫する「AI内製化」 差がついたのはツールより設計力
-
3
膨らむAIコストに歯止め GitHubのマルチモデルルーターは何が違うのか
-
4
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
5
JSONをやめてPythonで送る トークン消費を約7割抑えるAIの設計
-
6
APIキー奪取から3時間でクラウド掌握 Anthropicが暴いた「バイブハッキング」の現実的な防御策
-
7
「WhatsApp」の暗号化は万全ではない? E2EEとマルチデバイス機能が生む死角
-
8
覇権争いは終了? SnowflakeやSAPが「Apache Iceberg」の採用を急ぐ理由
-
9
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
10
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
9
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー